サンタルカンジェロ

4日
午前中は「東京ノート」の片付け。といっても、照明等の現地で用意してもらったものには手をつける必要はなく、持ち込みの置き道具、リノリウムなどだけ撤去、梱包すれば良いので、1時間ほどで終了。
出発まで2時間ほど空いたので、僕たちは高台にあるエルモ城に上ってみる。ナポリを一望できる素晴らしい景色。ナポリの街を一直線に貫く道「スパッカ・ナポリ」が下に見える。
昼過ぎに街中に戻り、昼食にパニーニを買う。歩きながら食べ終えて、ホテルロビーに集合。
貸し切りバスに乗り込み、何百キロも離れた「サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャ」へ向かう。ナポリは、イタリア半島西岸のやや南、サンタルカンジェロは東岸のやや北である。実に9時間に及ぶバス移動。
22時過ぎにやっとサンタルカンジェロのホテルについたが、チェックインがなかなかはかどらず。
23時ごろになって、やっと夕食にありつく。フェスティバル側が用意したビュッフェ形式の食堂。さすがにみんな空腹。無言でがっつく。
ホテルに戻り、疲れ果てて就寝。

5日
今日は終日オフ。遠出をする者たちもいるようだが、僕たちはサンタルカンジェロ市内を散策。丘の上に上るととても景色が良い。
夜19時からアンドロイド関係の打合せ。フェリーニがよく行っていたという店に案内される。こだわりの高級店。メニューなんて無い。最初に「飲み物は何にする?」と尋ねられる。飲み物が出てくると次に、「今日のプリモ・ピアットは、○○の○○ソース、○○と○○の○○...」などのように、口頭で今日のメニューを説明され、その中から選ぶように言われる。だが全部イタリア語なので、大変である。フランス在住のHちゃんが、かろうじてイタリア語もある程度理解できるので、通訳してもらう。プリモを食べ終わるころ、「今日のセコンドは...」と、またメイン料理の説明。英語しかできない日本人だけでいきなり来ても、絶対無理です。この店は。
アンドロイドの打合せは、話をすればするほど、色々大変だということが見えてきて、前途多難な感じ。

6日
朝から「東京ノート」の仕込み。といっても、照明は事前にフェスティバルスタッフによって吊り込み、回路、フィルターなどは出来ている。なので僕の仕事はチャンネル指定をして、パッチをお願いするところから。あと字幕関係の設置を行う。
午前中に「東京ノート」の舞台がだいたい出来、昼食。徒歩15分ぐらいのところに食事が提供されている。ビュッフェ形式。ナポリではこってりな食事が続いたが、こちらでは味付けはあっさり、脂肪分も少なく、野菜も豊富。僕たちにとっては嬉しいメニューだ。
午後からは「ヤルタ会談」の仕込み。こちらも照明は事前にできているので舞台と字幕の設置が主な作業。16時半頃にはだいたい舞台が出来上がったので、照明のフォーカスを行う。8台だけだからすぐ終わる。1時間ほど休憩。
18時から、「東京ノート」のフォーカス。こちらはイントレによるフォーカス。僕自身が上に上って作業する。吊り位置が悪いところを吊り替えながらの作業なので、ちょっと時間がかかった。が、20時半ぐらいには終了。
昼と同じく徒歩15分のところに行って食事。ワインやパスタなど堪能。

7日
午前中は「東京ノート」の場当たり。並行して明かりのバランスを作る。おおむね問題ないが、舞台最前部がちょっと暗すぎたので、補正の仕込みを追加。
昼食後、「ヤルタ会談」の場当たり。こちらはほとんど問題なし。
21時から「ヤルタ会談」ゲネ。ゲネは当初は19時の予定だったが、他のカンパニーとのかねあいでフェスティバル関係者も見ることができるよう、時間がずらされたのだ。ゲネなのだが、関係者を中心に、満席。トリプルカーテンコール。本番さながら、というか、もう事実上初日みたいな感じである。

8日
11時開演で「東京ノート」ゲネ。こちらも関係者がかなり客席に入り、ゲネにもかかわらずダブルカーテンコール。
夜の初日公演まで時間が空いたので、僕は「ヤルタ会談」の会場を早めに開けてもらい、そこでロボット関係の仕事をガシガシと進める。のんびりしてはいられないのだ。このイタリアから帰国したら、ずーっと忙しいのだ。少なくとも8月までは休み無く現場が続く。次から次へとプランをこなして行かなければならない。
19時から「ヤルタ会談」初日。非常に良い反応。カーテンコールは、なんと4回。
21時20分から「東京ノート」初日。もともとは21時開演だったのだが、フェスティバルの他の演目との関係で20分遅くなった。こちらも良い反応。カーテンコールは3回。終演したのは23時過ぎ。そのあとさらにアフタートークがあったのだが、そちらはフェスティバルスタッフが照明をやってくれるとのことで、僕は解放。トークも聞かないことにした(どちらにしろイタリア語だからわからない)。
フェスティバルバーで夕食。とても長い一日だった。明日がもうバラシだなんて、まったく実感が無い。


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