つれづれなる日々

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2009年9月の日々


09/30/2009(水)

文の形だけみると疑問文じゃないし、語尾もあがらないんだけど、意味としては疑問文。というものがあって、翻訳するときいつも困っている。例を挙げてみると、

A Bちゃんって、きょうだいなん人?
B 3人。お兄ちゃんとお姉ちゃん。
A 末っ子なんだ。

の最後のAの台詞みたいなやつ。英語にすれば、So you are the youngest, right? みたいな感じ。なんで困るかというと、「?」をつけないと疑問文(というか、相手の返事を要求しているってこと)だってわかってもらうことがむずかしいし、でも「?」をつけると語尾をあげて発音されてしまうかもしれないから。ま、戯曲の翻訳の場合は、翻訳者からの注は〔 〕に入れて示す、みたいなことを決めておいて、

A 末っ子なんだ。〔疑問文。ただし、語尾はあがらない〕

と説明することにしてる。日記とかだれかの日記へのコメントのときは、「末っ子なんだー。」とオンビキの棒を付ける場合が多いかな。

ということをなぜきょうまた新たに考えたのかというと、友だちに借りた小説をガーッと一気に読んでいたんだけど、終盤に2回ほどそういう会話が出てきたのね。で、その作家が「?」をつけるという作戦に出ているのをみて、この表記がメジャーになればしめたもんだ、とか思ったのね。それでです。

ゆうべその小説を読み始めたらやめられなくなって、夜中から朝9時まで読み続け、ちょっと眠って11時半からまた読み、午後遅くに読み終わって、興奮さめやらず手当たり次第に他の本を読み漁ったり、それでまた寝ちゃったり、という、今日はムチャクチャな一日を送り、お腹すいたな夕ご飯食べよかなと思ったときには夜の12時過ぎていて、最近「12時過ぎには食べない」と決めているので食べず、でもどうせまだしばらく起きてるんだから食べてもかまわないよね?いやいやそういうことを言っているとなし崩しに無秩序状態に戻っちゃうからよくないよ、じゃぁ12時から午前6時は食べないみたいに終わりも決めるべきなんじゃない?、みたいな脳内会議が始まり、結論が出ないまま、ルールは「食べない」なんだからビールを「飲む」のはいいよね、と缶ビール2本飲む。突っ込んでいいです。


09/29/2009(火)

今週中にシメキリが来る仕事で手元に原稿が来てる分を、だいたい片づける。事情があってシメキリ日はぜんぜん作業ができないので、早めに。

と言いながら、友だちから借りた本も読んでいる。旅公演の移動中に読もうと思っていたのにさ、読み始めちゃったらやめられないのさ、前後編ある文庫本。


09/28/2009(月)

午後も、夜も、準備していった甲斐があった。準備していって、よかった。

友だちからたくさん本を借りちゃった。10月は何かと移動が多いから、そういうときに読めたらいい。


09/27/2009(日)

明日の午後にやることと、明日の夜にやることの、準備をして1日過ごす。それと、締切はもうちょっと先だけどあいだに入ってる人に確認をお願いしたいことがある仕事をやった。


09/26/2009(土)

NCISを見てたら、検視医のダッキーがこう言ってた。
Live for today because yesterday's gone and tomorrow may never come.
そのとおりだよ、ダッキー!


09/25/2009(金)

かかりつけのお医者さんのとこで血液検査の結果を聞いたら、中性脂肪もコレステロールもぜんぜん問題なくて、ぜんぜんメタボじゃないって言われたよ。デブなのにね。


09/24/2009(木)

本日もいえで仕事。

夕食は、鶏レバー・厚揚げ・にら炒め。


09/23/2009(水)

スイスから戻ってそろそろ2週間になるというのに、昼夜逆転した生活がいっこうになおりません。そのうえ最近、ちょっと寝すぎなんじゃないかと思う。体調が悪いわけでもないんだけれども。

別の翻訳の仕事を進める。作者と連絡を取りながらやれるのは、本当に助かる。

夕飯を作って夫と食べた。なめこと豆腐の味噌汁と、肉ナス炒め。


09/22/2009(火)

ふつかよい。宿酔い、という表記が好きなんだけど、コンピューターが変換してくれない。ゆうべ、いえで酔っ払って、夜中にご飯を炊いて、ふりかけとバターをまぶして食べた。ということを起きてから思い出す。宿酔いの気分の悪さは、でもじっとがまんしてるしかしかたがない。そしてじっとがまんしてると、時間が経つとウソのように消えてなくなる。しかし、飲みすぎるのは良くないね。もうちょっとちゃんとしよう。

DVD(きのうの続き)を見る。シューベルトのセレナーデが頭から離れなくなる。翻訳の仕事を仕上げる。洗濯をする。「BURN NOTICE 〜消されたスパイ」の第2シーズン第8、9話をTVで見る。第1シーズンも相当面白かったけど、第2シーズン、ますます面白い。


09/21/2009(月)

ずいぶん前に友だちから借りたままになっていた映画のDVDを見始める。面白いんだけど、自宅だし14インチのテレビ画面だし、57分のとこまで見て集中がとぎれる。あとは、後日。

8月下旬には準備ができていて、後はファイルを修正すればいいだけになっていた翻訳の仕事に、やっと取り掛かる。

夜、いえで飲みすぎる。「バーンノーティス」の第1シーズンの最後2回分見て盛り上がっちゃった。


09/20/2009(日)

ゆうべ、疲れて、11時過ぎには寝てしまった。そしたら深夜1時半に目がさめてその後眠れず、3時頃に起き出して、寝たのは朝の7時過ぎ。めざましを8時に掛けてたんだけど、とめて10時半まで寝てしまい、きょうの装置作成作業に1時間遅刻。

17時に作業を抜けて、森下へ三条会のワークショップ発表会を見にいった。出演者一人一人の魅力が前面に出ていて、なおかつそれをまとめて引っ張っていく演出の強い力と方向性がはっきり見えて、面白く観劇。

タタキがきょうで終了しました、とメールで連絡あり。明日早起きしなくてよくなったので、終電近くまで飲んで、帰る。


09/19/2009(土)

10月の『東京ノート』国内ツアーと11月の学習院女子大学での『隣にいても一人』『ヤルタ会談』2本立て公演のためのタタキ(舞台装置作成作業)。きょうが初日で、最大来週水曜まで。青年団のこういう作業はおもに舞台美術関係者と出演者でやるんだけど、今回、他の演目の稽古があって参加できない人が多く、本公演のタタキなのに、こぢんまりと落ち着いた現場だった。


09/18/2009(金)

ある演劇公演についての感想が、友だちとまったく同じで、2人してビックリした。感想っていうのとちょっとちがうかな。相手の言葉を聞いてそれに過剰/異常な反応をするからストーリーが進んでいく、という構成の劇なのに、出演している俳優が、だれも相手の話を聞いていない。ぜんぜん相手とやっていない。会話がつみかさなっていっていない。人に対しても物に対しても、アプローチが無造作で自分勝手だ。そういうことが、友だちにも私にも非常に明確にわかった。好き嫌いということではお互いちがう意見が出たけれど、どういう理由で何がどうダメだったのかという判断は、一致していた。日野晃ワークショップを体験したことで、こういう共通のモノサシを持つようになったんだと思う(友だちは沖縄で、私は東京で、この夏、日野晃先生のワークショップに参加した)。今年3月の日記に私は、

どこかに「絶対的にいいものを見分ける目」と「自分の感じ方の肯定」のいいバランスがあるはず。そこに行き着きたい。
と書いた。そこに少し近づくことができたということではないだろか。
09/17/2009(木)

もう時差ボケとか言ってられないと思うんだけど、まだ変な時間に眠い。

『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』をまた読み直している(3回め)。ワークショップですごく感銘を受けたことの多くが、実はこの本にすでに書いてあったことに、ちょっとショックを受けている。本読んでからワークショップ受けにいったのにさ。読んだだけでは理解してなかったのね……。めざせ、大雑把からの卒業! 卒業っていうか、少しずつでもセンサーの方眼を細かくしていく!


09/16/2009(水)

3週間分の日記をガンガン書いた。


09/15/2009(火)

「青木さん家の奥さん」の受付を手伝う。お客様のいない時間に、立ちながら、胸骨を前後に動かす練習をしたり、指先を意識して動かしたりしてみた。帰国してもう4日めなんだから、時差ボケだとか言っていつまでも甘えてないで、身体を動かさないとな。

友に、マチコ最近日記書いてないねと言われる。いま書いてるよ。


09/14/2009(月)

帰国後3日め。11:30起床。15時眠くなり寝てしまう。16:20起きて、夫とご飯を食べに出掛ける。

夜、アゴラにて「青木さん家の奥さん」観劇。遠方より来たった友と飲む。


09/13/2009(日)

きょうも1日寝ていた。時差ボケなのか疲労なのか。


09/12/2009(土)

朝8時前、成田着。曇って小雨。団体旅行らしいおばさんが、「日本はやっぱり蒸しますねぇ」と言っていた。

全員分の荷物が出るまでだいぶ時間が掛かったけれど、幸いなことにロストバゲージはなく、税関も無事に通って、大きな荷物をトラックに積み、解散。一目散にバスのカウンターを目指す。いまちょうど発車するバスがあり、売り場の人が「もし乗れなかったら戻ってきてください」とチケットを売ってくれた。走っていくと、最後の荷物を積もうとしていたところに無事間に合う。次のバスは40分後だったから、間に合って本当によかった。

帰ってきましたとメールを出したり、おかえりなさいとメールをもらったりして、10時半過ぎ無事帰宅。途中のスーパーで買ったお寿司(太巻きと鯖握り)を食べて、いなかったあいだのモーニングとスピリッツを読んだのち、爆睡。


09/11/2009(金)

目覚ましは6時にかけたけど、5時過ぎに起床。シャワーして荷造り。ホテルの朝食は6時〜10時で、いつもは9時とか9時半に行くんだけど、きょうは6時過ぎに行き、いつもと同じく、シリアル、2種類のハム、サラミ、チーズ、パン、ハーブティー。そしてチェックアウト。このホテルに泊まってるチームのうち、きょう朝ごはんを食べたのはうちの部屋だけだったらしい。他の人たちが泊まっているホテルで全員集合し、空港に向かう。

全員といっても、もうパリに戻った人、仕事でロンドンに向かった人、自費で数日ヨーロッパに滞在する人など欠けて、ちょっとさびしい。今回の公演は終わったんだなと強く感じた。私はだいたいの場合、公演が終了するとすぐに気持ちがその企画から離れてしまうんだけど、今回もここで気持ちが切りかわっちゃって、後はもう機械的にこなす感じで、電車に乗って、飛行機に乗って、乗り換えで歩いたりバスに乗ったりして、飛行機に乗って、とほとんど無言。無愛想。チューリッヒ成田間の飛行機では、行きと同じく私の座席の前のスクリーンが映りが悪く映画も見れないしゲームもできない。言っても、きょうは完全に満席とのことで他の席に変えてもらうこともできなかった。離着陸のときに乗務員が座る後ろ向きの座席にもお客さんが座ってたみたいなので(観光ガイドみたいなのを読んでたし、後ろ向きのまま食事したりワイン飲んだりもしてたから、お客さんだったんだと思います)、ホントに満席だったんだろうね。


09/10/2009(木)

きょうは祝日でお店がみんな休みと聞いていたので、死んだような静かな街になるのかと思っていたけど、食べ物屋さんは、やっているところが多く、きのうまでとさして変わらぬ街頭風景だった。

午前中は部屋でだらだら。明日帰国なので荷物をまとめないと、と思いはしても、何を受託手荷物として劇団のスーツケースに入れて何を自分個人のカバン(機内持ち込み)に入れるかという判断がなかなかつけられず。無理なくカバンに全部荷物が入りそうという予想が立つだけに、いざとなれば10分でできるさ的な気持ちがあって、本気になれなかった。

昼は、同室の友と近所のケバブ屋さんへ。友のケバブサンドの大きさに驚愕。私が頼んだラップも中身は同じはずなのにずいぶんスリムだと思ったら、持ってみると固くてずっしり重かった。圧縮されてた。

いったんホテルに戻り、14:30劇場入り(きょうだけ開演がヤルタ17:00、東京ノート19:00で、2時間早い)。台詞合わせ。アンヌにささやかなお礼としてカップラーメン1個あげる。ささやかすぎるけど、何も持ってきてなかったから。きのうの写真を送るからと言って、メールアドレスも教えてもらった。

「ヤルタ会談」最終日は、きのうまでと比べて格段に静かな客席だった。冒頭の歌で笑いが来なかったのは、今回の公演ではきょうだけだったと思う。でも、興味をもって見てくれているのはよくわかった。カーテンコールは5回だった。

ヨーロッパ初演やりとげたぜ、という達成感、充実感、虚脱感に圧倒されそうになるも、いやいや私はこれから東京ノートがあるんだ、まだ本番モードを崩しちゃダメだ、とふんばり、移動してベランダご飯。きょうはちょっと風が強すぎて早々に中に戻る。準備して、本番。こちらも静かめな客席だった。やはり同じ日に続けて2本見る人が多いのかな。

終演。バラシ(撤収作業)。23時終了。たんぽぽで飲む。最終日ということもあり、メンバーのうちけっこう多くの人が行った。アンヌがレストラン席に来ていて、私たちは食事じゃなくて飲むだけだからそっちには本来座れないんだけど、アンヌが私たちの人数に合わせて隣近所のテーブルをどんどん合体させていき、みんなで飲んだ。


09/09/2009(水)

明日はジュネーブの祝日で、お店がみんな閉まってしまう。という情報を知ったのがきのうの夜。きょうはもう午後の予定を入れてしまっているので、午前中1時間で、スーパー、チョコレート屋さん、H&Mをまわって最後の買い物をする。

午後の予定というのは、ヤルタチーム有志と劇場のアンヌさんでお昼ご飯を食べ、そのあとアンヌさんに街を案内していただく、というもの。劇場と同じ建物の2階のレストランのランチは、サラダつき16フランで、日本円に換算したらこれだって高いけどジュネーブの食事としたらずいぶん安く、それでいてちゃんと美味しかった。

それからローヌ川沿いにレマン湖まで歩く。元水力発電所だった劇場、元「ニューモーニング」というライブハウスだった建物、水面より低い川沿いの通路……。湖を一部囲って泳げるようにしてあるとこにも行った。地元の人らしい人たちが大勢、身体を焼いたりご飯を食べたりしていた。トップレスの女性もちらほらいて、普通に座ってはなしたりしてた。レマン湖の噴水の根元にも行った。帰りはバス。ジュネーブっ子のアンヌさんに解説付きで案内してもらって、のんびり余裕がありながら中身の詰まった良い半日を過ごせた。アゴラ劇場に来る外国からの演劇人に私はこんなふうに東京案内をしてあげられるだろうか、してあげられるようになっときたい。

劇場に戻り、台詞合わせして、準備して、ヤルタ会談。きょうのお客様は、笑い過ぎなくらい最初から最後まで笑っていた。

移動して、眺めのいいベランダで食事。準備して東京ノート。こちらのお客様も、一つ一つの台詞にものすごく細かく反応していた。

終演後はたんぽぽへ。日本語で「よかったです、ありがとう」とか話しかけてきてくれる人が何人かあった。両演目見ましたというカッコイイ白髪の女性とは英語で話した。公演を見たあと、やる側も見る側もこうやってゆるゆるいられる場所があるのは、ホントにいい。


09/08/2009(火)

午前中は部屋で、洗濯したりごろごろしたり、台本もちょっと読んだ。旅も終わりに近づいて、洗濯もこれで最後だ。

昼過ぎ、街を歩く。ステットラーという美味しいチョコレート屋さんがホテルの近くにあると教えてもらったので場所を確認し、街角の書店に入ってみたら英語の本も売っていてヘイミッシュ・マクベス・ミステリーを探しちゃったけど、もう読んじゃった巻しかなかったので買わず。

モンブラン橋を渡り、これまた友だちから教えてもらったスーパー、コープシティへ。結局トータルで1時間半程歩いたかな。ホテルに戻り、買ってきたパンやチーズやオリーブやサラダやスープで食事。夜用のお弁当(サンドイッチとサラダ)も作る。

16時半からヤルタの台詞合わせを3人で。その後、準備して、19時開演。きょうも歌のとこから笑いが来る。きのうまでのお客様よりもさらに細かく、ありとあらゆるポイントで反応が返ってくる。やっぱり各人まちまちに自分のつぼで、1人でもリラックスして、笑ってる。

移動。控え室で山と街を見ながら持参のサンドイッチを食べ、衣裳に着替えて余裕を持って劇場におりたつもりが、ヤルタ会談のマニュキュアを落とすのを忘れてた。スタッフに届けてもらう。すみません、ありがとう。

終演後、控え室に戻るためエレベーターを待っている俳優たちをなんとなくずっと見てる人がいるなと思ったら、とうとう「ブラボー」とか話しかけてきた。この若い女性はローザンヌから見にきてくれたそうで、英語が話せますかと私が聞いたら、ちょっと、と答え、こういう演劇は好きだ、人のプライベートを覗き見ているようだ、日本に触れる稀有な機会を得て感謝している、と興奮した様子で話してくれた。

エレベーターは結局動かず、地下1階から最上階(日本の数え方で8階)まで歩いてのぼった。帰りは、ちょっとお腹がすいていたのでフェスティバルバーたんぽぽで食事を頼んでみた。食べてると、東京ノートを見たお客様が話しかけてきた。

ホテルに戻り、最低限のことだけして就寝。


09/07/2009(月)

夫が日本に帰った。

朝食後、近所のH&Mに行ってみる。買い物は旅の楽しみ。しかしやはり物価が高いので、あまりガンガン買い物はできず。とはいえ、下着とブラウス2枚、夏のパンツを1着購入。きょうから20%オフセールだそうで、ラッキーだった。あぁそうだきょうは靴も買っちゃった。ふらりと入ったお店で2分もしないで決めて買った。ときどきそういう出会いがあるよね。

リュージーヌ劇場に行くのに、いつもとちがう道を通ったら、迷って、集合時間に遅れてしまった。きょうはヤルタチームが3人とも遅刻して、おこられた。

きょうも満席で『ヤルタ会談』開演。最初の歌のところからお客様が笑っている。終演して、片付けは他の人たちに任せて、メイクを落として移動。『東京ノート』の控え室で食事(きょうはカップラーメン)。こちらも、反応のいい、よく笑うお客様だった。

終演後、フェスティバルバーに初めて行ってみた。なんだ、すぐ隣だったのか。いま『東京ノート』を見てきたというお客様と少し話す。16年間この演目、この役をやっていると言ったら、役が身体に染み込むというようなことはあるかと聞かれた。う〜ん、それはあんまりないかな。ただ、服を着るみたいに一瞬でそこに行ける。そういうことはある。それに、台詞も動きも既に全部危なげなく覚えて把握してるから、自分がどうやるかということでも、相手を受け止めるにしても、さらにさらに細かいことを見分けて反応していける。うん、そういうことはあります。


09/06/2009(日)

きょうは公演初日。実は私、きのうの朝くらいまで、初日までまだ3日くらいあるとカンチガイしていた。今回2演目あるため、タイムテーブルが劇場ごとになっていて、それを日程表で見た私は、本当は「東京ノート9/4」「ヤルタ会談9/4」「東京ノート9/5」「ヤルタ会談9/5」というふうに並んでいるのを、「9/4」「9/5」「9/6」「9/7」だと思っちゃってたわけです。えらく余裕のあるスケジュールだなぁと思ってた。

『東京ノート』12時集合。最上階(控室)のベランダでアップ。アルプスやら古い教会やらを眺めながら日野晃ワークショップで習ったあれやこれやを。ここはどうだったっけと、同じワークショップを受けた友に聞いたりしながら。別の友がやってきて、教会を見ながら、カルバンやらルターについて、ものすごい話をする。だけど後から、友だちがルターについて言ったことが実はルターではなくてルソーのことであったと判明。なんじゃそりゃ。

14時開演でゲネプロ。私はこの2日間ヤルタ中心だったけど、さすがに東京ノートはもう16年前からやってるから、すっと東京ノートの世界に帰ってこれた。

リュージーヌ劇場に移動して、ヤルタ会談の準備。台詞合わせをしても楽屋でバカ話をしても、場のテンションが妙に高い。初日っぽい。チケット完売でお客様がロビーにあふれているとのことで、予定より数分早く開場。満員の客席にフランス語と英語が飛びかっていた。19時開演。出演者3人の緊張感も自由度も高い、良い意味でぎりぎりで成立している感じの舞台だった。各所で笑いが起き、それが、客席全体のときと各自が各自のつぼで反応してる感じのときとあって、その自由さが気持ちよかった。カーテンコール4回。

ヨーロッパ初演を記念して写真を撮り、でも私は余韻にひたる間もなくメイクを落として東京ノートの劇場に向かう。20時到着。食事して、衣裳に着替えると、もうそろそろスタンバイの時刻。メイクして、21時開演。

開演前から舞台上を俳優が行ったり来たりしている演出で、だから「ここから開演」というのがあまりはっきりとはわからない舞台ではあるんだけど、たいていは開演して2人の人物がしゃべりながら登場してくると客席が静かになる。でもきょうのお客様は、おしゃべりがとまらない。開演したことに気づいていない。字幕が出ているとはいえこれじゃ声がぜんぜん聞こえてないなぁと思いちょっと声量をあげたあたりで、客席のあちこちから「シー」(静かにしろ!)という声があがり、そのあとは集中して見てもらえた。ただ客席が相当暑くなっていたみたいで、紙とかであおいでいる人がたくさんいた。

終演して、演劇祭が用意してくれたシャンパン(ヤルタ会談のほうにもで乾杯して、解散。明日日本に帰る夫と、今回照明で参加している友と、駅前のパブでビールを1、2杯飲んでだらだらする。


09/05/2009(土)

12時集合なので、午前中はホテルでゆっくりする。身体はゆっくりしても気持ちがなんだか軽く弱気。弱音を吐いてぐずぐずすると、夫が「お湯ためて入ったら?」とすすめてくれて、お風呂につかる。元気になる。

13時から『ヤルタ会談』場当たり。演出家に稽古を見てもらうのが実は久しぶりで、出演者3人とも緊張気味。きゅっとしまった感じで、よかったと思う。私は1カ所新しいことをしたくて、やってみる。特にとめられなかった。15時開演でゲネプロ。劇団員が何人か見にきてくれた。私が2カ所まちがえた。変えたところは、ダメ出しなし。よし、これでいくぞ!

明日は日曜日でどこもかしこも閉まってしまうかもしれないので、それに備えて、近所のデパートManorの食品売り場に行く。他のヤルタ関係者も買い物していた。きょうの仕事を終えてなんだか晴れ晴れした顔だった。私はこれからまだ『東京ノート』の場当たりだ。クラッカーとチーズを買って劇場入りする。

最上階のアトリエ(控え室)は、本当に眺めがいい。掃き出し窓からベランダに出て、少しアップする。場当たりは、こちらも、問題なくサクサク進む。最後は、カーテンコールの練習。フランス人は、縁起が悪いと言ってカーテンコールの練習はしないと聞く。カーテンコールの段取りを律儀にきっちり決めていく日本人を、スイス人はどう思ったかな。

青年団の旅公演は必要最小限しか団体行動しないが、今宵はめずらしくみんなでチーズフォンデュを食べに行った。


09/04/2009(金)

きょうは、小雨がぱらついたり、きれいに晴れたり、ザーザーふったり、天気のかわりやすい1日だった。

9時から仕込み。両方の作品に出演している私は、体力を温存しなよとみんなに気づかってもらいながら作業する。おもに、リュージーヌ劇場でヤルタの仕込みに参加。ヤルタは仕込みのときにアイロン掛けの仕事がたくさんあるので、ガンガン掛けた。

18時には両演目とも仕込みのめどが立ち、俳優は夕食後に解放される。ヤルタ組は、東京ノートを上演するサン・ジェルベ劇場のある建物の最上階のアトリエ(俳優が多くて楽屋に入りきれないので、この大きな部屋を控え室として使わせてもらっている。ご飯などもここでみんなで食べた)で自主稽古して明日の場当たり・ゲネに備える。20時前に解散。スーパーでいろんなビールを買って帰る。

部屋でごろごろした後、仕込みの終了したスタッフと合流して、アイリッシュパブでビールを1、2杯。


09/03/2009(木)

バスで成田へ。化粧水や何かを機内持ち込みにして万一没収されたらショックが大きすぎるので化粧品は全部、受託荷物(きのう劇団で荷造りした分)の中に入れてしまったから、きょうはすっぴんです。

遅れる人もなく無事に全員集合し、搭乗手続き。手荷物の重さや大きさをかなりきっちりチェックされたようで、機内持ち込みにするはずだった荷物を受託にされた人も何人かいた。

離陸して、飲み物がでて、じきに食事になって、まだお昼くらいの時間のはずなのに眠くなって、あとは寝たり起きたりしているうちにチューリッヒ着。ちょっとお腹がすいて、サンドイッチを買ったら6フラン。てことは、これ1つで500円以上ってこと? スイスは物価が高いとさんざん聞いてきたけれど、ホントに高いんだね。

乗り換えて、ジュネーブ空港に無事到着するも、受託荷物がいくつか出てこない。結局、チューリッヒにあるとのことで、荷物の届かなかった人はスイスエアーからお泊りセットをもらった。今回、劇団の荷物を各自が分担して持っている。ロストバゲージになったとき自分のスーツケースの色や形状や大きさを言えないといけないのに、私は自分の担当のスーツケースの色が黒なのか紺なのかよく覚えてなかった。ここで慌てて写真を撮っておいた。

フェスティバルの人が迎えに来てくれていて、車と電車に分かれて市街地に向かう。きょうはホテルにチェックインして解散。夫と近くの中華に行く。


09/02/2009(水)

劇団の最終的な荷造り作業がありアゴラへ。床に座っていて立とうとすると、太ももの前側に痛みが走る。肉離れ? このタイミングで? 両手をついてやっと立ち上がる。なんなんだこれは。ただの筋肉痛? ほっといて大丈夫なのか? 友に相談すると、下手して本番歩けなくなったらいけないから(そんな〜、おどかさないでよ〜)キネシオテープを用意していったほうがいいと言われる。荷造りは12:30終了。

この後2時から南河内万歳一座の「S高原から」ゲネプロを見せていただく予定で、その前に旅用の機内持ち込みのカバンを買いに行くつもりだったんだけど、けさ早起きしたりしたもんだからなんだか調子が悪く、ぐずぐずぐずぐずしていたら、友が、これはキネシオテープとは別の友なんだけど、
「ロフトに行きなよ。可愛いスーツケースが1万5千円から2万円くらいできっとあるよ」
とものすごく具体的な行動を示唆するアドバイスをくれて、それにぐーんと背中を押されて買い物に行ったら、売り場で「買って!!」とアピールしてくるソフトケースと出会い、無事購入。それで気分も良くなって、「S高原から」も楽しく見せていただくことができた。友よ、ありがとね。

帰宅して荷造り。ノートパソコン(旅行のときしか使わない)がないとか、電源ケーブルがないとか、さわいでは夫に探してもらう。それ以外はサクサク進む。でも起床時間までもう4時間ないよ。


09/01/2009(火)

スイス公演用に、国際線機内持ち込み最大サイズのスーツケースを買わなければならない(前まで使ってたのは、去年のヨーロッパ公演のときに壊れちゃった。8千円くらいで買って3年使い倒したから、まぁ、元はとったかなという感じだった)。近所のデパートに買いに行ってみたけれど、カバン売り場にはすでに2人ほど先客があって、売り場の人が対応している。もう1人売り場に立っている人がいるけれど、相談に乗ってほしいよぅ〜という私のオーラをキャッチしてくれなくて、「どうぞ、よろしかったらお手にとってご覧ください」的なことしか言ってくれない。どうも波長があわない。いえに帰って夫にそう言うと、私の服装のせいではないかと言われた。白のTシャツに紺のハーフパンツ、たしかに夏休みの小学生(縮尺ちがい)のようだ。服装のせいだったかもしれない。

夜は友と、日野晃ワークショップについてなど、語り倒す。


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