つれづれなる日々

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2012年7月の日々

7月のイメージ


07/31/2012(火)

この合宿唯一の完全オフ日。山に登る人、街に下りる人など、みな思い思いに。私は、宿舎でのんびりして、台詞を覚えたり学校の授業の映像を見たりするつもりだったんだけれど、結局ゴロゴロして寝たり起きたりして一日過ごしてしまった。疲れがたまってもいたんだと思う。良い休日でした。夕方40分ほど、ウォーキングは、した。

しかし、3場、4場は、「ざっくり稽古」はしたはずなんだけど、どんな話の展開なのか、私のアタマはさっぱり記憶していなかった。きょう自分で台詞を覚えながら読んで、やっと少し把握できた気がする。人間が(というか私が、か……)ものを理解して記憶するプロセスって面白い! 一人でやってる中でもいろいろあって、ある部分の内容がぜんぜん理解できず台詞も覚えられない時間があって、でもその後一眠りしたり洗濯とか他のことをして戻ってくるとすっと覚えられたり。


07/30/2012(月)

午前中で、ざっくり稽古が最後まで終わる。これ以降は、じっくり稽古のみです。

今後、演出家が留守のときなどもあるので、自主稽古をどのように進めるかを俳優どうしで話す。前も書いたけれど台詞の覚え方は各人各様で、「自分でちゃんと覚えてから、みんなとあわせたい」人も「みんなであわせながら覚えたい」派もいるので、一口に「自主稽古」と言っても、その前にどれだけ準備するかしないかみたいなコンテクストが違っていて、なかなか話がまとまらないが、それでもなんとかすりあわせてスケジュールを決める。

特に私はきのうきょうやった部分でたくさん台詞があったので、いっぱいいっぱいになっていて、午後の自主稽古も少し遅れて参加にさせてもらった。協調性がなくてすみません。でも、こういう、「自分はこうしたい」「こうでないと自分は困る」ということをお互いに出し合って解決方法を見つける、という方法が、私はとてもありがたいです。

夜は、夕食をはさんで2本、コンクールの作品を観劇。終演後、きょうこそはフェスティバルバーでの審査員の講評を聞く。演劇関係以外の審査員の感想が新鮮で面白かった。ああいう視点を持った人にこそ演劇を見てもらいたいし、自分もそれをなくさず持っていたいと思った。演出家である審査員の経験と実績に基づいた深い言葉も、たいへん良かった。


07/29/2012(日)

きのうのようにきっちり細かく稽古していくとなかなか先に進まないので、きょうからは、動きなどを決めていく、ざっくり流す稽古と、集中して細かくやる稽古を交互に行うことになる。交互にというのは、朝ざっくり、午後きっちり、夜ざっくり、みたいなこと。

さらに、きょうは夜の稽古を休みにして希望者は温泉に行くという案もあったんだけれど、諸事情あり、夜は、きのうきょうで(きっちり)稽古した部分を通すことになった!

午前中の、3場ざっくり稽古は、どうも私はなにがどうなっているのかよくわからないまま終わってしまった。午後はきのうの続き(1場後半)のきっちり稽古。あいかわらずほとんど出ているので、休憩時間に次のシーンの台詞を練習しながらの自転車操業でなんとか乗り切る。

本番用の家具が届き、その組み立てをみんなでした後、「きのうきょうで稽古できたところまでの」通し稽古開始。それぞれミスはいろいろあったけれど、私が1カ所完全に台詞がわからなくなってプロンプしてもらった以外はとまらずに最後までいけた!

今回の合宿、稽古場と同じ建物内に宿泊している人と、少し離れた宿泊施設(食事は、全員、この宿泊施設の食堂で食べる)にいる人といて、私は離れてる組(年寄りなので優先して希望をきいてもらった)。稽古場との行き来を、きのうまでは全部車移動にしていたんだけれど、以前利賀に来てたときに歩いてた慣れた道でもあるので、きょうは、毎食後の「宿舎→稽古場」の移動を徒歩にしてみた。裸足ビーサンだったので、最後は足の裏がちょいとすりむけたけれど、合計60分の良いウォーキングとなった。


07/28/2012(土)

朝食後、さっそく稽古開始。この合宿には、会話分析とかそういうことを研究しているチームが稽古場にカメラを持ち込んですべての稽古を記録している。そんな、いつもとちょっとちがう雰囲気の中、冒頭からきっちりした稽古が進んでいった。「ただいま」「おかえりなさい」というような一見シンプルなやりとりを、間とかスピードとかニュアンスとかを指示にあわせて変えながら、何度も何度も何度も繰り返す。

昼食後も夕食後も稽古。きょうは、私はほとんどのシーンに出ていたので、休憩時間も次のとこの台詞を覚えたり確認したりで、大忙しの一日だった。

稽古のあと、みんなで飲み会。今回の夏合宿は、新作「三人姉妹」の稽古で来てる人と、新人や若手の人の稽古(「暗愚小傳」を稽古するのと、自分たちで創作をやるのと)で来てる人がいて、総勢二十数名の大所帯。それに先ほど言った研究チームの人とか、今夜は演劇人コンクール関係の方々も数名いらして、にぎやかな会でした。私は12時にギブ。


07/27/2012(金)

早朝、富山駅に到着。コンビニで最後の買い物をして、バスで富山空港へ。飛行機で空港に着いた人と、車で利賀へ。何年ぶりだろう。いろいろと変わっていていちいちビックリする。

先発隊と合流し、宿舎、稽古場の割り振りをみんなで決めてから、きょう来た私たちはしばらく休憩。眠り込んで、昼食に遅れる。

午後は、さっそく、「三人姉妹」読み合わせ。明日は、冒頭から立ち稽古を始めるとのこと。台詞を覚えねば!

夜は、夕食をはさんで、利賀演劇人コンクールの作品を2本鑑賞。翻訳の言葉と向き合うのは、日本の戯曲に取り組むときとはまた別のさらなるむずかしさがあるということなどを、あらためて考えたり。

そのあと、フェスティバル(ではないか?)バーで審査員による講評などがあるとのことで、興味はあったけれど、疲れてもいるしなにより明日の稽古に向けて台詞を覚えないといけないので、早々に宿舎に戻る。

台詞を覚えるのには、人により場合によりいろいろなやり方がある。とりあえず今夜は、数ページずつ、「全登場人物の台詞を読んで流れをつかむ」と「自分の台詞を、順番にしたがって覚える」を繰り返す方法で。眠ったり起きたりまた眠ったりしつつ4時くらいまでやった。


07/26/2012(木)

朝、荷造り。終わるとこまではいかず。でも、カバンの容量からして、持っていきたいものはみんな持っていけそうなので、一安心。

午後、横浜でワークショップを受ける。この劇作家・演出家が、演劇をどういうものととらえているのか、どういうことを大事にして作品を作っていってるのか、ということのよくわかるワークショップだった。特に前半、ありがちなゲームの形をとりながら自分の考えをわかりやすく説明していて、あざやかだった。その後、身体を使ったり、頭を使ったり、充実の4時間で、終わってみれば、二の腕やら背中やらがすでに筋肉痛。

ストレッチにしても筋トレにしても、自分一人でトレーニングとしてやるとなかなか「きつい」ところまでやれないのに、それがダンスの振り付けになってたり、今日みたいに「あるポーズから別のポーズに瞬時でかわる」ということだったり、つまり何か別の目的があると、後でぐったりするくらいまで身体を動かせるのはどうしてだろう。というか逆に、どうすれば一人トレーニングのときもこのレベルまでやれるんだろう。やれるようになりたい。

学校から、メールで、きのうの授業の映像と次回の課題の指定が届く。利賀前に間に合ってよかった! 映像をダウンロードし、必要なファイルをノートパソコンにコピー。

夕食に夫のつくったパエリアを食べて、いざ合宿に出発。新宿から深夜バスで富山に向かう。深夜バスって、リクライニングを倒すとき後ろの人に声をかけるのが億劫で倒さないまま我慢しちゃったり、後ろの人が来る前にさっと倒しちゃったり、そういった駆け引きがちょっとめんどくさい(けどしかたない)と思っているんだけど、今日のこのバスは、あらかじめすべての座席が同じ角度に倒されていた! おぉ、なんて日本的な解決法、と少しネガティブな感想ももったけれど、でも、効率的でなかなか良い方法だよねと感心もする。


07/25/2012(水)

「東京ノート」東京都美術館公演最終日。客席と舞台の設営を終え、あぁ、最後の設営だった、と思う。これからやるすべてのことが、今回最後のナニナニだ、とあまり考えるとセンチメンタルになるので、その道は封印する。

無事に本番終了し、撤収作業。私は照明を手伝う。そもそもの最初の仕込みのときにいなかったので、返す機材がもともとどういう状態でどの箱に入っていたのかを知らず、普通こういうふうになっているという舞台照明の常識もあまりないので、いちいち指示してもらわないと動けず、あまり役に立たなくて申しわけなかったです。そんな私なのに照明チーフのニシヤンに「ありがとう」と声をかけられて、泣きそうでした。

予想よりも早く撤収が終わり、よかったよかったと帰路につくも、小田急線が人身事故で遅れ、結局終電のような時間に帰宅。


07/24/2012(火)

「東京ノート」は、今日明日で公演終了。上野に通うのも明日で最後か……。10日あまり通っていたのに、結局動物園にも博物館にも行かなかったなぁ。

短パンにきのう買ったゾーリという、夏休みのお父さんのような格好で劇場入り。涼しくて良いが、舞台設営時に裸足の小指をシズ(鉄製のおもり)にぶつけて痛かったので、明日から気をつけよう。アップはきょうもヨガ。おとといは片足立ちを頑張りすぎて筋肉痛になったので、きょうはほどほどにしておく。

帰り道、共演者たちと、今回の東京都美術館公演のお客様はなぜ海外公演のお客様のように積極的であたたかいのだろうかという話題になる。舞台と客席の距離以外に、何が違うのかということ。


07/23/2012(月)

休演日。

学校の宿題を提出するときは、念のため開封確認リクエストをしている。今朝見たら、3時に送ったメールが三十数分後に開封されていた。先生の生活時間帯はどうなってるんだろうといつも不思議に思う。

合宿に向けて買い物。虫除けグッズ。葛根湯(旅のときは持っていると安心なので)。旅グッズ(ほしかった洗面用具入れが30%オフになっていた!)。非常食。衣類。室内履き。つっかけ。駅ビルのユニクロがなくなっていたのが想定外であった(リニューアルして10月にオープンするとのこと)。

5時くらいになると、「本当に今日は休演日なんだろうか。本当に上野に行かなくて良いのか」と少し不安になる。今出かければギリギリ間に合うという時間帯ですね。

夜は、友人の映画監督が立ち上げた独立映画鍋のキックオフイベントに行った。映画美学校のロビー(というか教室)にものすごい数の人が集まってわんわんしていた。プレゼンを聞いたり、久しぶりの人や初めましての人とはなしたりして2時間。そうそう、行きしなに、渋谷のユニクロで合宿用の買い物もできたんでした。


07/22/2012(日)

アップで連日、ヨガを習っている。ヨガっていってもヨガをやるときの準備段階くらいのとこらしいけれど。片足で立つのが、なさけないくらいにできない。でも、呼吸やどこが伸びているかを意識しながら動くのは面白い。汗もかくし。

夜は、学校の宿題。今まではたいてい、締切よりもだいぶ前に提出していたんだけど、今回はギリギリになった。だけど、課題をやるごとに、字幕翻訳に対する自分の取り組み方が変化していっていて、やっぱりこの講座は勉強になってるんだなぁと思う。締切9時間前の、月曜午前3時にメールで提出。


07/21/2012(土)

アゴラで、来週の利賀合宿(新作「三人姉妹」の稽古と、新人中心の稽古のため)に向けての荷造り。

早めに美術館に着き、ラウンジで1時間ほどぼんやりする。ほかのテーブルの会話を聞くともなく聞いていた。おじさんがおじさんに、外国のエアコンの話をしていたり。
「行ったことあるから知ってるでしょ? あっちはさ、うるさいんだよ。ガーーーーって。日本は静かにってするけど、そういう考えがないんだね。ガーーーーって。それでサーモスタットが切れると、ガクーン!ってまたうるさいから、目がさめちゃう
「ガー」とか「ガクーン」は、エアコンの声色で。

終演後、少し飲んで帰る。友だちに、Girlsというアメリカドラマをすすめられた。


07/20/2012(金)

木ノ下歌舞伎「義経千本桜」観劇。5時間近い演目、堪能した。義経かっこいい、子狐いとしい。それにしても、演出家三人三様の、カラーの違いっぷり、それをつなぐ俳優陣のチームっぷりが見事だった。


07/19/2012(木)

きょうもアップで、アッキーにヨガを教えてもらった。じわりと汗をかく。いろんな筋肉も伸びたようだ。自分の感覚でアップするときもこのくらいのきつさを目指してはいるんだけれど、なかなか……。

それにしても、今回の公演は客席が近くて明るくてよく見える。こないだ見にきた友だちは、クローズアップにしたり引きで見たり、自分で選択して見られておもしろかったと言っていた。


07/18/2012(水)

きのう梅雨明けだったらしい。

図書館から、大沢敏郎著「生きなおす、ことば」を借りる。県内の図書館から取り寄せてもらったもの。暑い中図書館に行く途中、伊勢丹を通ったら、デパートの中は涼しくて、明るくて、美しくて、仮設ステージではフラのショー(愛好グループとかだと思う。メンバー全員60歳超という感じだった)をやっていてのどかな音楽が流れていて――なんだかこの建物の外の現実とあまりにもかけ離れていて涙が出そうになった。でも、まぁ、百貨店ってそういう場所なのかもしれないけれど。

きょうは、アップのとき、アッキーにヨガを教えてもらった。リンにも、合気道のウォームアップ的なものを教えてもらった。私はひとに何を教えてあげられるだろう。

この公演のあとに行く夏の合宿は、宿舎・稽古場が初めて行く場所で、どんな生活になるのかなかなかイメージがつかみにくい。それでも、少しずつ情報が入ってきて、どんな服を持っていこうか、嗜好品的な飲食物はどうしようかなど、じょじょに自分の方針が見えてきた。8日後には出発だ。


07/17/2012(火)

三連休が終わり、上野の森の人影もまばら。今日は美術館が軒並み休館だしね。それにしても晴天が続くね。上野駅から東京都美術館に向かう途中、十字路でどーんと広がる青い空白い雲が見えるポイントがあって、そこを通るときいつも気分がせいせいする。

集合前に、この公演の直後に始まる合宿(おもに新作「三人姉妹」の稽古)に向けて小さなミーティング。

「東京ノート」は今日も満席。


07/16/2012(月)

メイクしてるときに、アイシャドウのチップの汚さを指摘される。ていうかチップって洗うものだって知らなかったよ私。

今回、メイクのじょうずな共演者がいろいろと私のメイクを手直ししたりアドバイスしたりしてくれるので、私のメイクがいつもよりグレードアップしてると思う。ファンデーションの伸ばし方からして、私の雑さとはぜんぜん違うもんね。

終演後、懐かしい人や初めましての人やに会った。


07/15/2012(日)

「東京ノート」初日。

きのうのゲネでも思ったんだけど、客席が舞台に共感する感度が高い。舞台との距離が近いので、視覚情報がものすごく多い。しかも客席の照明が暗くならないので、それが一体感につながるんじゃないだろか。3月に見た映画美学校第1期アクターズ・コース初等科終了公演「カガクするココロ」の舞台もこういうふうだったなそういえば。

初日なので、ちょっと乾杯して帰る。


07/14/2012(土)

少し早めにいえを出て、上野で、西洋美術館と東京都美術館のミュージアムショップを見て歩いた。ファーバーカステルのオイルパステルというのが面白そうで、衝動買いしそうになったが思いとどまる(私は、パソコン上じゃなくて現実世界で絵を描くときに今のところさくらクレパスを使っているんだけれど、やわらかくて混ざりやすい色と硬めで混色しにくい色とがあるところを不満に思っていて、良い画材を探しています)。

本番と同じに19:30開演で、ゲネプロ。ゲネといっても、きょうはお客さんがたくさんいた。客席数が少ないため、美術館のスタッフのかたや青年団関係者はなるべく今日来ていただいたので。実際にお客様が入ってみると、客席が、近い! これだけ近いと共感しやすいというようなことがあるのか、あたたかく好意的な雰囲気を感じた。


07/13/2012(金)

きょうは東京都美術館が遅くまで開館しているため、「東京ノート」の稽古は無し。学校の課題をやったり、読書したり。

夜は夫婦でかめや。

帰宅して、録画したAXNミステリーの「シャーロック」(BBC制作の、シャーロック・ホームズを現代のロンドンの話につくりかえたドラマ)第1話を見る。私は友だちに借りたDVD(字幕なし)ですでに見ていたんだけど、今回はじめて日本で字幕放送があり、これで夫と一緒に楽しめる、と心待ちにしていたのでした。今字幕の勉強中なので、そういうことなども今回は気にしながら見た。レストランで店主がシャーロックにジョンのことをyour dateと言い、ジョンがI'm not his date.と言うとき、dateというのは「デートの相手」という意味で、だから「彼氏」「彼氏じゃない」のように訳すのが正統的だと思う。けれども字幕は「(これは)デートじゃない」みたいになっていた。意味が通るし、音としてdateってのが聞こえてるときに「デート」って字幕を出すのは読む人の信頼を得やすくて良いと思った。


07/12/2012(木)

美術館の閉館する17:30からまた作業。舞台、客席を復帰して、場当たり再開。図面で見てはいたけれど、現場で立ったり座ったりしてみて、あぁ、こういう位置関係なんだ、こういうものが目に映るんだ、ということを、自分として確認し、納得していく。


07/11/2012(水)

「東京ノート」公演会場である東京都美術館で、朝から、搬入。初めて来た場所だと思ってたけど、エントランスのあたりに見覚えがある……。前にフェルメールの絵を見に来たことありました、ここ。すっかり忘れてた。

搬入終了後、いったん帰宅。夜は、学校の授業に前半だけ出る。スクリーンに投影された受講生の字幕を見て、
「(訳の是非はともかく)これ、「ベ」のはずのところが「ペ」になってますよ!」
と気づいて指摘する先生に、親近感を持つ。

その後、場当たり(リハーサル)のため美術館に戻る。通用口から入って、しばらくうろついてわからなくて結局守衛さんのところに戻って道を聞き、歩いて行ったら「東京ノート」の舞台上に登場してしまった。


07/10/2012(火)

晴れ! 一昨日の日曜、高知もすごくいい天気だった。タクシーの運転手さんに「もう夏ですね」と言ったら、「まだセミが鳴かないから、夏ではないね」ということを言われた。高知の言葉で。「自分たち人間はちょっと天気がいいともう夏だ!と思ってしまうが、セミは間違わない」とのこと。そうなのかもしれない。

昼過ぎに、「東京ノート」の荷物の積みかえ(高知公演用のものをおろして収納し、東京都美術館公演用のものを新たに積み込む)。

終わって、ダンスのレクチャーを聞きに某所へ。夏休みまでにあと3回講義があるけど、私はもう公演とか合宿があって、この授業には出れないんだ。残念。名残惜しく帰る。

夜は、いえでごはんを食べて、録画してあった「チューボーですよ!」を何本か見る。いま、まだ、4月アタマの分くらい。


07/09/2012(月)

映画「死刑弁護人」を見た。死刑事件を請け負う安田好弘弁護士のドキュメンタリー。

強烈な人だ。強烈だけど、淡々としている。筋が通っていて、ぶれない。弁護士一筋。学生運動をしていた者(=自分)が体制側に行くなど考えられなかった、という。私の頭の中に「『いちご白書』をもう一度」の歌詞が浮かんだ。「就職が決まって髪を切ってきた時/もう若くないさと/君に言い訳したね」。みんなそうやって社会人になっていったと思っていたけど、そうじゃない人がここにいる。

人はだれでも悔い改めることができる、同じ過ちを繰り返さないためになぜこのようなことが起こったか真実を追究する必要がある、という安田弁護士の言葉を、私は本当だと思う。犯人を死刑にするよりも、「どうしてこんなことになってしまったんだろう」「どうしたら二度とこんなことが起きないようにできるんだろう」と考えるほうが建設的で、人類全体の幸福のためになると思う。

逆に、この映画の中に出てくる、だれかの死刑が確定したことを「よかったですね」とか「よかったです」と言う人たちに、私は少しも共感できない。たとえ被害者の家族でも。私の家族が死んだら私はものすごく悲しむだろうと思う。どうかなってしまうかもしれない。でも、家族が死んでしまったことは何をどうやったって取り返しのつかないことであって、その犯人が生きていようが、死のうが、どんな死に方をしようが、それで私の気持ちや状態がどうにかなるとは思えない。復讐したいという気持ちが自分の中から出てくると思えない。私にそういうウェットな情緒的な部分が欠落しているということなのだろうか。「犯人にくし」「生かしておけぬ」のほうが多数派なのだろうか。

ただ、そういう考えでいるとはいっても、私は、「できることなら、長くてもあと数十年の人生、権力の人たちに目をつけられたりいじめられたりしないように、目立たず生きていきたい」という臆病者ではあるわけで、「死刑弁護人」に出てくる警察や検察やマスコミを見ていると、恐ろしくてたまらないし、日本の社会について絶望的な気持ちになる。ただ、何かあった場合どんなことが待ち受けてるのかということを今日見せてもらったので、ほんの少し覚悟ができたという気もする。ナイーブすぎる感想ですが、私はイマココです。

ということを記しておきたかったので書きました。

スタートレックを生んだジーン・ロッデンベリーは、未来を、「飢えや貧困や貨幣経済がなく、人が自分の人間性を向上させることを人生の目的としている世界」として描いた。宮沢賢治も、ジョン・レノンも、ジーン・ロッデンベリーも、安田好弘も、そういう理想的で楽観的な考えをもった、信念の人なんだと思う。そういう人が増えて、Imagineの歌詞のように早くなると良い。

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope some day you'll join us
And the world will be as one


07/08/2012(日)

午前中、日曜市を見て歩く。早起きできなかったので、45分くらい。野菜も果物も海産物も練り物もお菓子も骨董品・古道具もいろいろあり、けっこうあれもこれも買ってしまった。

朝から引き続き舞台・楽屋の片づけをしていたチームと劇場で合流し、皆で空港へ。空港で食べた柚子アイスもおいしかったな。この3日間、美味しいものばかり食べた。

午後の早い時間だったせいか空港からのバスもすいすい進み、予定では1時間20分掛かるところ、1時間弱で到着。

夜は久しぶりにかめや。


07/07/2012(土)

午前中フリーだったので、美術館を見る。シャガールは、「サーカス」中心の展示。サーカスの舞台を照らす光の表現が印象的だった。収蔵作品による「物語る美術」という展示も見ごたえがあった。絵金の「太平記忠臣講釈 七条河原惣嫁宿」の細部が魅力的だった。筒井広道「少年と犬」とオスカー・ココシュカ「夢見る子供たち」シリーズは、好きで、何度か戻って見た。

2時から「東京ノート」。おなかがすいて、途中でごはん。公演中の食事のペース配分はなかなかむずかしい。

昼の公演のあと、近くのスーパーに買い物に行く。何を買わねばというのがあるわけじゃなく、なんとなく、おみやげとかなにかいいものあればな、という感じ。それで結局ゆっくり1時間くらい見てしまった。うちの近所のスーパーにないからと小麦全粒粉を買ったのは自分でもちょっとどうかと思ったけれど、高知らしいものもたくさん仕入れて満足。

夜の公演のあと、バラシ。ホテルの近くの屋台で、牛スジ、おでん、餃子、ラーメン。んまい!


07/06/2012(金)

朝から場当たり、午後ゲネプロ、夜は公演。満席。青年団を初めて見るかたも多いと思うけれど、気負わず自由に受けとめてくださる感じのお客様だった。

美術館スタッフのかたたちと初日打ち上げ。


07/05/2012(木)

「東京ノート」高知公演に向かう日。ゆうべは、荷造りで夜更かし、きょうはフライトにあわせて早起きで、結局1時間半しか寝ていない。

最寄り駅から空港バスで行く予定にしていたんだけれど、途中の道路のどこかで事故があったとかで、きょうは少し遅れるかもしれないと係りのおじさんが言う。もともと集合時間ギリギリに着くスケジュールのバスだったので、これでちょっとでも遅れたり渋滞でいつ動くかわからなかったりしたら私は気が揉めていらいらしてしまうだろうなと思い、予定変更して電車で空港を目指す。育った家庭が車移動にほぼ縁がなく、何かというと電車、列車だったので、レールの上を時間通りに走る乗り物が私の基本となっている。信頼感があるのよね。

高知での公演場所は、高知県立美術館。ここに美術館ホールという能舞台のあるホールがあって、その舞台上に舞台と客席を仮設して公演するんです。私は、照明の手伝いをしたり、楽屋の使い方をみんなと検討したり、衣裳のアイロン掛けをしたり。

照明スタッフを残して夕食後に解散となる。ホテルにチェックインして、美味しいものを食べに行くチームもあったようだが私はゆうべの睡眠不足もあって疲れてしまっていて、ちょろっと洗濯などして、早々に就寝。そしたら案の定真夜中に目がさめて、寝付けないのでこないだの井手茂太さんのワークショップでやった振り付けを踊ってみたり(何をやってんだか……)。


07/04/2012(水)

「東京ノート」の旅ミーティング。稽古。

夜は、学校。きょうは、映画についてのレクチャー。黎明期の、エディソンやらリュミエール兄弟の映像を見る。最初期の50秒の固定カメラの映像にすら、何をどう写そうという作り手の意図がはっきり見える。そして映画が発明されて10年足らずのあいだに、映画とはなにか、どう見せたらすばらしいのか、ということが、ぐんぐん進歩していっている。すごい。さらに、このようなことも、解説を聞きながら映像を見るからわかるわけで、ただ自分一人で漫然と見ていたのでは気づかなかっただろうと思うと、なんだか考えさせられる。


07/03/2012(火)

朝10時から「東京ノート」稽古。昼過ぎまで。その後、きょう稽古場にいた「三人姉妹」キャストで、夏の合宿のことを少し相談する。

夕方、ちょいとわけあって、腰が痛くて動けなくなった人にしばらく付き添う、という初めての経験をする。いや、車椅子が来るまでただそばにいただけなんだけど。あの人はもう無事に家に帰り着いただろうか。


07/02/2012(月)

今週末からの「東京ノート」公演にあわせ、美容院に行く。久々にパーマをお願いしたら、なかなかかからず、ほとんどおこられながら。安いシリコン入りのシャンプーを使っていると、薬液が髪に入らないそうです。でも最終的には良い感じにしてもらった。


07/01/2012(日)

日記を書いたり、メールを書いたり、洗濯したり、洗い物したりしているうちに、1日終わる。あ、金曜の井手茂太ワークショップの振付を文字で記録したりもした。でも、そのくらいしかしてない。

そうだ、化粧品を注文した。数年前に映画撮影の現場で出会って使用感が気に入りそれからコンスタントに使っている製品を、この数カ月切らしていて、韓国でもらってきた試供品とかいただきもののあれやこれやで凌いでいたんだけれど、最近肌に元気がなく、そうだもう歳だから化粧品代をケチっている余裕なんかないんだ!と反省した次第。

あと、この日記用に久しぶりに絵を描いた。後ろのほうにいる動物は、7月の星座、獅子座と蟹座をあらわしています。


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