新・舞台照明講座 光についての理解と考察
『新・舞台照明講座 光についての理解と考察』 をレクラム社から上梓いたしました。

(2022.3.15発行 B5判 120P / 装幀:髙林 昭太)
本書は、舞台照明を学ぶための新しい教科書です。これまでの舞台照明の教科書は、そのどれも、舞台照明を一つの“職業”として捉えていました。すなわち、照明という仕事をする上で必要となる知識や技術を学ぶ、という考え方に基づいていたということです。しかし、この『新・舞台照明講座』は、舞台照明が<仕事>であるということを必ずしも前提にしていません。そこが、これまでの舞台照明の教科書とはコンセプトが大きく異なっています。
今までの舞台照明の教科書が、なぜ<仕事>を学ぶという考え方で作られてきたかと言うと、そもそも舞台照明というものが<仕事>以外ではあり得ないものであったからです。
しかし、現在の舞台照明は、昔と比べると必ずしも職業的ではないものに変質してきていると言えます。今では照明を職業としていない人が照明機材を個人的に所持するようなケースも増えています。そうした専門家でない人たちの手によって、学校の教室や体育館、あるいは公民館や民家、店舗といった“非劇場空間”に簡易な照明機材を仮設で設置し、自分たちなりの舞台照明効果を作るといったことが行われるようになっています。舞台照明そのものに興味や関心を持ち、職業としてではなく“趣味”として、照明の機材やシステムについて学び、実践を続けている「アマチュア照明家」や「学生照明家」といった人たちも、現在ではたくさんいます。
さらに、現在は各種の技術情報が誰でも見られるような形でインターネット上に公開されています。ですから、時間と手間をかければ舞台照明についてのかなり高度な知識を誰でも学べるような状況になっているということが言えます。今や、舞台照明は、それを職業とする専門家だけのものではなく、一般の人に広く開かれた文化的な活動というべきものに発展していると言えるでしょう。
かつては、舞台照明の知識や技術は専門家どうしの間だけで専有され、基本的に秘匿(その意図は無かったとしても結果的には)されていました。しかし、現在はインターネットの発達により、どんな情報も流出し、また共有されることを避けられない時代となりました。専門家が技術を秘匿して、その情報の希少性によって価値を保とうとするような時代は、今や終わろうとしていると言えるでしょう。
舞台照明の知識や技術は、遅かれ早かれ、すべての人の共有財産となっていくものだと私は考えています。舞台照明は、“舞台芸術”というより大きな文化の一部分を成すものであり、そのための知識や技術は、知りたいと思うすべての人に公開され、共有されていくべきものだと私は思います。
この『新・舞台照明講座』は、そのための一つの試みとして作成しました。舞台照明を、職業としてではなく、あくまで興味の対象として、総合的に解説することを狙いとしています。ですから逆に、職業としての照明家を目指す人にとって直接的に役に立つ内容は、あまり含まれていないと言えるかも知れません。本書の対象はあくまで、仕事として必要とする人よりも、好奇心や興味を持っている人です。
『新・舞台照明講座』は、個人的な関心の対象として、あるいは舞台人の基礎的な素養として、舞台照明の全体を俯瞰的に知りたいと感じている方を読者に想定して書きました。
興味をお持ちの方、ぜひご購入をご検討いただければと思います。
ご購入は全国の書店にて。発行部数が少ないので小さな書店の棚には無いと思いますが、どの書店でも取り寄せ注文が可能です。
書名:『新・舞台照明講座 光についての理解と考察』
著者:岩城 保
出版社:(株)レクラム社
定価:2530円(2300円+税)
「地方・小出版流通センター扱い」と書店に伝えてご注文下さい。
また、レクラム社のサイトから直販でもご購入いただけます。
