喫煙者を救え!


●私の方法

私がタバコをやめるのに使ったメソッドは「ALLEN CARR'S EASY WAY TO STOP SMOKING」と言う(Webサイトもあるが、ものすごく重いページなので注意)。このメソッドは、日本に上陸して間もないので、まだあまり知られていないらしい。このメソッド名は同時に、メソッドを記述した本のタイトルでもある。この本の日本語訳が発売されており、それを読んで、それに従うことで、私はタバコをやめることができた。その本はこれである。

この文章を執筆した当時は日本ではまだ新しかったこのメソッドだが、それから4年を経過した現在では一般に広く知られるものとなり、もっとも有名なメソッドの一つとなっている。(2004.11.18補足)

「読むだけで絶対やめられる 禁煙セラピー」
アレン・カー 著 阪本章子 訳 KKロングセラーズ ISBN 4-8454-1163-6

これまでここに私が書いてきた主張は、私一人が考えたものではなく、この本の影響を強く受けている。というより、かなりの部分はこの本に書かれていることである。この後に続く部分も同様である。

これまで私は、この文を書くための資料用も含め、禁煙に関する書籍を何冊か入手したが、本当に禁煙を志すつもりなら、この「禁煙セラピー」以外はまったくおすすめできない。この本のメソッドは、態度や内容が他の禁煙メソッドの本と全く異なる

例えば、この本は唯一、ニコチン製剤(ニコチンガムやニコチンパッチ)の使用を否定している。また、この本は唯一、タバコの健康被害でない話題から始まっている。この本にはタバコと健康との関係の話がほとんど出てこない。このメソッドは、アレン・カー氏という元ヘビースモーカーにより考案された方法であり、喫煙者の心理を実にうまく突いた記述に満ちあふれている。

この本のカバーには、下記のようなことが書かれている。

この宣伝は正しいと思う。私の場合もほぼこの通りであった。タバコをやめようと考えている方は、ぜひこの本を買って、実践していただきたいと思う。また、家族や友人、恋人の喫煙をやめさせてあげたいと思っている方、この本を買って、できればまず自分で読んでから、プレゼントしてあげて欲しい。

このメソッドの実践方法もここでご紹介しようかと思ったのだが、こればかりはどうしても難しい。中途半端に紹介しては、せっかくのメソッドの効果が半減する。方法自体は、やはり本を直接お読みになったほうが良いと思う。だからここでは、このメソッドを実践する上で、私自身が気づいたことを二、三点補足するだけにとどめよう。

まず一つ気をつけなければならないことは、「柔軟な理解力が必要」ということである。自分にかかっているマインドコントロールを解くのだから、頭をうんと柔らかくして、気持ちを最大限に開く必要がある。これは実はなかなか難しい。

もう一つのポイントは、喫煙衝動の二つの原因、

の、違いの認識である。ここがおそらく、このメソッドの最大のつまづきポイントだと思う。というのは、喫煙している間はこれら二つの区別をするのはほとんど不可能なぐらい難しいからである。しかし、二つの違いがあるということを十分に学習してからタバコを実際にやめると、喫煙停止後に、「あ、今、本当にニコチン渇望だ」「あ、これは単に癖でタバコが吸いたい気がするだけだ」と、自分で区別できるようになる。喫煙を停止してからこの区別ができるようになるまでが勝負となる。この区別ができるようになれば、勝ちである。この区別さえできるようになれば、二度と、絶対にタバコを吸うことはあり得ない

もう一つ、本書には書かれていないことだが、禁断症状への対処について述べておこう。ニコチンは依存性薬物だから禁断症状はある。私の場合、以下の禁断症状が出た。

しかしどれも大した症状ではない。普通の仕事なら問題なくできる程度である。二日酔いのほうがよっぽどつらい。しかし、症状が出ている間は寝ていられるなら、そのほうが楽である。禁断症状は、喫煙をやめて二〜三日目ぐらいがピークなので、例えば土日が休みという方なら、水曜日の夜か木曜日の午前中に喫煙を停止すると良いと思う。金曜日は少し眠くなるかも知れないがちょっと頑張って、続く土日を寝て過ごせば、以後は身体的な禁断症状は減少する一方だから、仕事等への影響を最小限にできる。


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岩城 保
iwaki@letre.co.jp