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仮説:リンクの自由は憲法で保証されている

Webの話題
1999.8.22

WWWには「リンク」という優れた仕組みがあり、文中のアンカー部分をマウスクリックするだけで別のWebサイトにジャンプできるというのは子供でも知っていることである。新しくWebページを作成してリンクを張ろうとする際、リンク先に許可を求めるべきかどうかが問題になるときがある。個人のWebページなら開設者が自分で判断して自分の責任で行えばよいのだが、企業や団体のWebページをチームで作成したりするケースだと、チーム内でも意見が割れたりして、混乱の元である。

リンク許可については色々な意見があり、Webサイトにリンクの条件が書かれているのをよく見るが(このサイトもこのホームページについてにリンク条件を掲載している)、その内容はサイトによって様々である。色々と見てみると、完全なリンク禁止というのは珍しく、よく見かけるのは

  1. 完全にリンク自由、連絡も不要
  2. リンクは基本的に自由だが、事前または事後に連絡を希望
  3. リンクの際は事前に相談を希望、場合によっては許可しない

といったものである。私は上記の3は不当だと思う。私はリンク自由論者である。リンクについての私自身の意見は、下記の通りである。

あらゆるリンクは完全に自由であるべきで、事前も事後も連絡や許可の必要はない。ただし、先方が連絡を希望しているならば、マナーとして一報してあげるのが親切。リンクを禁止する、事前の許可を求めるなどは論外。
なお、リンク先の存在と同一性は、リンク元が責任を持つ。

そもそも、「リンクを張る」という、後から俗に生まれた表現をするからわかりにくいのであって、「リンクを張る」とは、要するに、<a href="..."> 〜 </a>という文字列を書く、ということに過ぎない。リンクを禁止するというのは、<a href="..."> 〜 </a>という文字列を書くことを禁止するということであり、これは憲法で保証された言論の自由の侵害である。

  1. http://www.letre.co.jp/~iwaki/essay/というひどいサイトがある
  2. こんなひどいサイトがある

これのどこが違うというのだ。1のような記述が言論の自由で保証されているなら、2だって保証されてしかるべきである。でも、名誉毀損になりそうな、あるいは著作権を侵害するような、目に余るリンクも実際にあるのだ、といった声が聞こえてきそうだが、名誉毀損だとか著作権侵害だとかは、個別の問題であって、リンクに許可が必要かどうかという議論とは関係ない。脅迫電話をかけたからと言って、電話の使用自体を禁止することはできないし、包丁で人を傷つけたからといって、台所での包丁の使用まで禁ずることはできない。宗教団体が犯罪を犯したからと言って、その宗教の信者であるという理由だけで罰することはできない。

同様に、名誉を毀損、あるいは著作権を侵害するようなリンクを張られたからと言って(ましてやその恐れがあるという理由だけで)リンクを禁止することはできない。

私の結論:リンクの自由は憲法で保証されている。



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岩城 保(Tamotsu Iwaki)
iwaki@letre.co.jp