つれづれなる日々

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2007年9月の日々

A No. 3


09/30/2007(日)

雨降り。ゆうべから急に気温が下がって、これは気をつけないと風邪をひきそう。こういう日に限って、めいっぱい出掛ける用事があるんだ、また。

まずは、東京デスロックのunlock#3『演劇LOVE〜愛の3本立て〜』観劇。60分の作品が1つ終わるごとに、演出家による30分ほどの作品解説があるので、2時から3時半まで劇場にいて、1時間ほどお茶飲んで時間つぶし、5時から6時半まで2本め、その後ご飯を食べたりして1時間後劇場に戻り8時から3本め。どこかの演劇祭に来てるみたいなスケジュールだった。どの作品もそれぞれの味わいがあって面白かった。あえて言えば、『社会』はもうちょっと長く見たかった、『3人いる!』はもう少しコンパクトでもいい気がした、『LOVE』が一番、ずっと興味を持って見続けることができた。

その後、神泉に移動して打ち合わせ1件。終電の時間が迫ってきて、私があせっちゃって尻切れトンボになっちゃって、もうしわけなかった。


09/29/2007(土)

おいしいもの満載の北海道ツアーでも増えなかった体重が、最近増えている。理由ははっきりしていて、運動不足のせいである。いえで、座って仕事してるか、寝転がって本読んでるかだからね。しかも、翻訳の仕事をしていて行き詰ると何かつまみたくなっちゃうくせがある。ま、ポテトチップ1袋食べてから仕事にとりかかっていた昔(20代の頃です。大昔です)に比べたら、いまは、「あ、いまなんか食べたい気がしたのは、食欲じゃないんだから、食べてもしょうがないんだ」とわかってるからまだ大丈夫なんだけど。

いいむろなおきマイムカンパニーから公演のお知らせが来た。10月11〜14日に大阪で公演があるそうで、うわー、その時期私もちょうど大阪(青年団伊丹公演。10月12〜15日)。近くにいるのに見にいけないなんて、ナンテクヤシインデショウ。


09/28/2007(金)

眠くてしょうがない。

書店で、『グーグーだって猫である』の3巻を見かけ、購入。おもしろかったけど、2巻までとなんだかタッチがちがうね。あ、絵じゃなくて。なんだか、すごくあっさりしている。前ほどいろんなことに一喜一憂していない。やはり、大きな病気をしたのが影響しているんだろうか。どっちがいいとか悪いとかじゃなく、かわったなーと思ったことでした。


09/27/2007(木)

変な時間に寝起きしている。翻訳を1つ仕上げて納品。

こないだ中目黒の古本屋で買ったファージョンの『町かどのジム』を読んだり、ゴルゴ13を読んだり、ベケットの伝記を読んだりしながら、寝たりもする。ベケットの伝記は、第二次世界大戦に突入。ナチスドイツの巴里入城後、田舎に逃げるけれど、数カ月してまたパリに戻ってきて、レジスタンス活動に手を染めた、というあたり。

夜になって、別の翻訳の仕事が入ってきたので、そちらにも着手。主観的なのはいいけれど、わかりやすく書いてください!!


09/26/2007(水)

友から頼まれている、タイのリゾートホテルのレポートの翻訳を進める。タイの自然を満喫、象乗り体験あり、とか言っても、部屋は電気・水道・エアコン完備、無線LAN付き、なわけでしょ。いいとこどりだってところはまぁいいと思うけど、そんなんでタイを知れるのか? あぁ、別にタイを知りたくて行くわけじゃなくて、日常を離れたところで夢のような休暇を過ごしたいんだからそれでいいのか……。でもなんだか腹立つ。

夜、アゴラ劇場にて、ひょっとこ乱舞『トラビシャ』観劇。この劇団、初見。新しさとなつかしさの微妙なバランス。


09/25/2007(火)

なんだかぼーっとして、いろんなことが進まない。とはいえ、提出期限に間に合うように、あれこれメールを書く。

きのうのミーティングなんかでも、来年のスケジュール帳がないと不便だったので、2008年の手帳を購入。ここ数年能率手帳を使っていたけど、駅ビルの文房具屋で見つけたポップな感じのものに鞍替えしてみた。

ベケットは、お母さんと最後の大喧嘩をして、アイルランドを出ていった。同じ家に寝泊りできないくらい嫌いって、本当にものすごい愛情の裏返しなんだろうね。この伝記を読んでいると、いろんな場面が動画で頭に浮かぶ。ベケットの伝記映画、だれか作ってくれないかしら。


09/24/2007(月)

12時からあなざ事情団のミーティング。3月の大阪公演のことを主に話し合う。例によって3人が別々の時期に忙しく、稽古スケジュールを決めるのに一苦労。でも、充分な回数を確保できそうな見込み。『三人姉妹』は3年前の作品なので、いろいろと直すところも出てくるんじゃないかな。そこがまた楽しみでもある。

夕方からピザを食べる会があると聞き、メンバー全員知ってる人だったのもあり、飛び入り参加。待ち合わせの前に、友と二人中目黒のおしゃれな界隈で、帽子を見たり、古本屋でMr. Cheerfulを読んだり、パンを買ったり、ソフトクリームを食べたり、また帽子を見たりしていて、結局待ち合わせに遅刻してしまった。ピザのお店は、友が、本当はデート用にとっておきたかった(きょうは女子5人)と言うのがうなずけるよい雰囲気で、ピザうまかった。


09/23/2007(日)

来年2月、『キラリ☆ふじみで創る芝居 ロミオとジュリエット』(どこからどこまでタイトルなのか、私はいまのところよくわかっていないのですが)という公演に出演する。その稽古というかワークショップがあり、きょう、キラリ☆ふじみへ。荷物が多いので鶴瀬から友と2人でタクシーに乗るつもりだったが、タクシー乗り場にすでに10人くらい先客があり、10分待っても2台しか来なくて、結局徒歩にて会場に向かう。途中、ガーメントケースを持って走る男性3名ほど見かける。行き先は同じと見た。

まずは、チラシのための写真撮影。事前にいただいたスケジュールでは、12:30から撮影、終了し次第ワークショップ(予定13時)となっていて、まぁ13時ワークショップ開始はたぶん無理だろうと思っていたんだけど、やっぱり撮影が、開始も撮影自体も押して、ワークショップは14時からになった。この公演は、「3人の演出家がシーンを分担して1本の作品を作り上げる」という企画で、きょうはその3人のうちの1人、富永まいさんのワークショップ。まず、他の人からなんと呼ばれたいか、というのをみんなに聞いたところがよかったと思う。それから、富永さんの演出の構想を聞き、それを具体的にどういうふうに表現するか、アイデア出しをやった。2人組に分かれてそれぞれ考えたんだけど、発表してみたら、やっぱり同じようなことを考えている人はいるもので、結構ネタがかぶっていて、興味深かった。終了して、何人かで近所の蕎麦屋さんに寄って、終バスの時間近くなって解散。


09/22/2007(土)

松井周のサンプルの公演『カロリーの消費』を見に行く。俳優が、俳優本人の特徴やくせからそれほど離れないまま少し極端な演劇をしているのに、それが変なくせに見えなくて、その世界の構成要素として他とのバランスよく存在しているところが、ひじょうに興味深かった。

ベケットは、ドイツを旅行中(1936〜7年)。ある日のガイド(男性)を衝動的に夕食に誘ってしまい、どうもあやしいなぁと思いながらも「本職は仕立て屋」というその男の境遇に同情し、言い値でスーツを仕立てさせたらやっぱりとんでもないあやしげなのができてきて、それでもなんだか淡々としているのは、どういうんだろうね。性格といえば性格なんだろうけれど、もともと裕福な家庭であまりお金に頓着しない環境で育ったのかしらね。金がない、金がないと言うわりに、結局いまだって親からの送金でドイツを1年近くも旅行してるわけでしょ?


09/21/2007(金)

こないだの北海道ツアーで、仕込とかばらしのときに、ジャージなのでポケットがなくて不便だった。これはカフェエプロンでしょう、と思い、作ることにした。8月の『ゴド侍』で淳子さんの衣裳のカフェエプロンを作った経験と、そのずっと前にすごい大雑把なカフェエプロンを作った経験をいかし、自分サイズの使いやすそうなのができました。しかも材料費0円。むかし、駒場の喫茶店が改装したときに不用品として道端に放出していた生地を使ったのでね。

友だちからビリーズブートキャンプの「基本プログラム」DVDを借りて、やってみた。うわー、これはきついや。というか、『スネークさん』のダンスの稽古と同じくらいの運動量の感じ。あの頃みんな身体しまってたのもうなずける。あと、ブートキャンプがむしゃらにがんばっちゃって筋肉痛で日常生活に支障の出ちゃう人がいるとかいう話もうなずける。インストラクターが実際目の前にいて「まだやれる」とか「あともう1セットがんばろう」とか言うのとホントに似た感じだから、ビリーにそうふに言われると、ビリーはお茶の間の私の状態を見て言ってるわけじゃないのに、がんばれる気がしちゃうんだろうね。私は無理そうなのは回数減らしたりパスしたりしちゃったけどね。早くなるとついていけないし。というか、足がままやいて、かえってステップ数が多くなっちゃう。と書いてから調べてみたら、「ままやく」って方言なのねー。辞書に載ってなくてビックリしたよ。


09/20/2007(木)

歯医者に行く。行きの電車の中で、携帯電話のマニュアルを読む。セルフモードとカメラのズームのやり方がわかった。歯医者は、定期メンテナンス。仮歯が1本入る。

帰りに、Blue & Whiteに寄る。手ぬぐいを染めるときに下に敷くとかなんとかいう、たしか「捨て地」と言っていたと思うけど、そういうものを売っていた。絵柄や文字が重なったり微妙なグラデーションになったりしてて美しい。エプロンを作るつもりで買ったけれど、どうもこれで簡単なブラウス作ったらステキなんじゃないかと、帰り道でどんどん想像がふくらんだ。前に「暮しの手帖」に載っていた直線断ちのブラウスのような襟ぐりにしたらいいんじゃないかな。

とある依頼のメールに、まずこれこれを教えてください、それからじゃないと引き受けられるかどうかお返事できません、と返信。担当者が変わるたびに、振り出しに戻る、だなぁ。

チラシに載せる写真を撮るので喪服を持ってきてください、というメールを受けとる。嫌いなんだけどなー、喪服。いっそ和服の喪服持っていっちゃおうかなー。とか言いつつ、喪服(洋服)出してきて着てみたら、なんか手っ取り早く似合うもんで、「お、いいじゃん」なんて思って、私の気分なんてこうやって簡単に上向く。


09/19/2007(水)

洗濯をする。仕事のメールを書く。ベケットの伝記を読む。私は読書はたいていベッドで寝転んでする。いままで辞書なしで読んできたけど(楽屋とかで、パソコンで電子辞書使って読んだこともあるけどね)、きょうは、研究社英和大辞典も持ち込んで、辞書を引き引き読んでみた。いま、翻訳の仕事はパソコンでやるから、辞書もパソコンの画面で使っている。紙の辞書は久しぶり。検索性は電子辞書にかなわないけど、紙の辞書って見やすいし、よけいな記述がふっと目に入るところが、いいのね。

きょうはテレビもたくさん見た。ハウス、刑事タガート、バーナビー警部、刑事コロンボ、トゥルー・コーリング。あっちこっちチャンネル変えながらだから、全部最初から終わりまで見たわけじゃないけどね。


09/18/2007(火)

トラックから荷をおろし、装置をしかるべき場所に収納する作業に出掛ける。1時間ほどで終了。夜まで時間があるので、髪を切りたいと思い、五反田までの道で探してみるけれど、見つからない。とりあえず下北沢に行ってみる。以前通っていた美容室の電話番号を調べて電話してみるが、お休み。よさそうなお店がないか、歩きながら探す。火曜日なのでお休みのところが多い。やっと1軒見つけて、1時間後の予約をとる。予約までの1時間で、海外に行く友へのプレゼントを探し、落ち着いた喫茶店で一休み。

美容院は、いま「行きつけ」がなくて、どこかいいところがないか探しているところである。家の近くで、と思っていたけど、下北沢ならときどきは行く街だから、ここもいいかもしれない。きょう行ったところはなかなかいい感じだった。

そして駅前劇場に、あなざーわーくすの大西智子さんが出演しているピチチ5の公演を見に行く。智子さんの魅力全開の舞台になっていた。他の出演者のかたがたも、みんな面白かった。こないだ『下流志向』という本を読んだんだけど、その本に描かれているような若者に違和感を覚える30代、という感じのストーリーで、むちゃくちゃ共感できる部分が多かった。共感できる、というか、したくなくても共感してしまうというか。

海外へ行く友にプレゼントを渡し、いえの人と合流して、帰宅。洗濯。


09/17/2007(月)

朝から温泉。その後、帯広名物豚丼を食べに行く。店によってだいぶ味がちがう、とのことで、これが一般的な豚丼かどうかわからないんだけれども、薄切りの豚肉がうなぎのたれのようなこってり甘辛のたれにからまって、なかなかおいしかったです。

ここで友と別れ、私たち二人は六花亭本店の喫茶店へ。ここでは誕生日の人に向かって店員さんがハッピーバースデーを歌ってくれるというサービスをやっている、と聞いていたけど、私たちがいるあいだに、実際2回ハッピーバースデーの歌声が。しかもハモっている。聞いていてなんだか涙が出た。音楽って強引だな。良いとか悪いとかじゃなく、強引だな、と思いました。

で、駅の向こうのインターネットカフェまで歩いていく。初めて入ったよ、こういうところ。1時間ほど居て、私は街へ。髪を切ろうかなと思ったんだけれど、知らない美容室に入る勇気がなかなか出なくて、ぐるぐるぐるぐる歩いちゃった。六花亭にまた行って1階でさくさくパイを1つ買って外を歩きながら食べたり、またまた行って2階でピザを食べたりした。夕方工房に戻り、演研の友に駅まで送ってもらって、JRで新千歳空港に向かう。途中の駅で、「10分遅れ」とのアナウンス。理由は、鹿がぶつかったためとのこと。

飛行機は、雨天のせいか揺れたけど、無事羽田に到着。電車を乗り継いで、25時前に帰宅。


09/16/2007(日)

午前中、劇場にて、バラシ(撤収作業)。地元受け入れの実行委員会の皆さんや高校演劇部の皆さんが手伝ってくださった。12時前に終了し、バスで旭川に向かう人、JRで札幌に向かう人、レンタカーの人、……青年団のみんながバラバラになって去っていく。東京での装置片づけが18日午後で、それに間に合うように帰ればいいので、まっすぐ帰る人もいれば、少し観光する人、寝台車でゆっくり帰る人など、まちまちだ。

私たち4人は、帯広演研の新しいアトリエ(工房)を見せてもらうため、レンタカーで帯広に向かう。車窓から何枚も空の写真を撮った。このツアーで私はずっと、空と雲の美しさに圧倒されている。

夕方5時に帯広着。来週こけら落とし公演のある「演研・茶館工房」は、演研の皆さんがこつこつと手作りでつくった、ものすごくステキな空間。『隣にいても一人』の通し稽古も見せていただき、その後は、居酒屋で飲んで、屋台で飲んで、立ち食い的蕎麦屋に行って、気づくと夜半過ぎ。


09/15/2007(土)

本番2回。1919を2回連続で、というのは、ツアー中きょうが最初で最後。髪の染め方、楽な方法発見。ゴムでしばってから、染めればよかったんだ! 最終日に気づくなんて、とがっかりする私に、でもまだ来月のツアーもあるから、となぐさめてくれる友あり。そうだね、そのとおりだ。オーラスの北九州最終日とかじゃなくてよかったよ。

きょうの公演は、昼も夜も客席にしゃべる人がいた。ときどきそういう人がいるよね。熱心に見ていてついついしゃべっちゃってる、というのがわかるので、そんなにいやな気持ちはしないんだけど、舞台のさまたげになるのは明らか。小学生、中学生のワークショップでオリザが、
「人の発表を見ているとき、笑ったり拍手をしたりするのはいいですが、おしゃべりをしてはいけません。これが、演劇で一番大事な決まりです」
と言っていたのを思い出す。このことが、みんなに早く浸透しますように。

終演後、温泉旅館に移動して打ち上げ。イクラ! タラバガニ! カズノコ!


09/14/2007(金)

ちがう寿司屋で上にぎり。ネタのラインアップが、きのうのとこよりもよかった。お椀が、ウニ入りニラたま汁だった。おいしかった。利尻での打ち上げのときにも、ウニ入りのおすましが出たけれど、ウニを汁物にするなんて、ウニが豊富にあるところじゃないとそんな発想出てこないだろうなぁ。

かもめ劇団の方々をお迎えして、ワークショップ。『ソウル市民1919』の1場面に、「参加」してもらう。

その後時間があったので、いえの人と二人、黄金岬(おうごんみさき)まで歩いて行ってみた。なんだかんだで往復2時間ほどかかった。ずっと歩いてたわけじゃないけどね。私は、海のない長野県で育ってるから、海は見るたび見るだけで感動する。岩に砕ける白い波、陽光に光る海面。湾の向こうに見える青くかすんだ山並み。

初日。満員。留萌でも、アフタートークで質問・感想がたくさん出た。

とうとう5日連続で同じ居酒屋に。きょうは「皆勤賞」の4人のみ。


09/13/2007(木)

午前中、あかしあ大学(高齢者大学)のワークショップを見学に行く。いくつかのゲームに参加。参加者の元気さ、反応のよさに圧倒される。いったんホテルに戻っていえの人と合流し、ホテルの近くの寿司屋で昼食。街をぶらぶらして、喫茶店に入ったりもして、夕方劇場へ。

ゲネは、見学のかたが10人くらいいたようで、通常の公演のように客席の反応があり、ゲネというより初日をやった感じだった。テンポがよかった。

4日めのきょうも同じ居酒屋へ。きょうは割と大人数でわいわいと。


09/12/2007(水)

中学生ワークショップ。ワークショップを担当する俳優に、アシスタントでつく。アシスタントというのが、どこまで生徒に関わっていくべきなのかというのは、いつも迷う。講師の希望ということもあるだろうけど、アシスタント各自のモチベーションとか参加意識によって左右される部分も大きいのじゃないだろか。

午後から場当たり。途中中断して客席作り。夕方、同じ建物内の別のホールで、ふれあいかもめ劇団の通し稽古を見せていただく。その後、後半の場当たりをして、9時前に終了。小道具の片づけの手伝いをして、湯飲み茶碗を洗って拭こうとして1つ割ってしまう。予備はあるから大丈夫、それより手は大丈夫?と言ってくれる人たち。お手伝いを買って出てかえって仕事を増やしてしまうって、これ、ただの子供じゃないか……。

3日連続で、同じ居酒屋へ。完全にメンが割れている。


09/11/2007(火)

9時から仕込み。私は照明の吊り込みに参加した後、楽屋作りとか、ケータリングの買い物とか、衣裳の修繕とかをした。今回は、劇場に元々ある客席の上に、舞台にもっと近い仮設客席を作ることになっており、その作業分いつもの仕込みより時間がかかった。まだ完成しないまま21時にきょうの作業を終了し、解散。

そしてまた何人かで、きのうと同じ居酒屋に飲みに行く。きのうは夢中でいろいろ頼みすぎた。きょうは、お酒も肴も、じっくり味わうことができたように思う。食べ物の写真は、撮り忘れた。


09/10/2007(月)

初めて朝風呂に入る。公演のある日は朝からぐったりしちゃったら困るから、今まで避けていた。露天風呂から見える海景、すばらしい! でも、海岸の手漕ぎボートの人と目があいそうだった。丸見えってことよね。ま、いいけど。

地元の受け入れの皆さんに見送られて、フェリーで利尻を後にする。岸と船とをつなぎ、風をはらんでやがてちぎれて海上に舞う色とりどりの紙テープ。「さようなら」ではなく「いってらっしゃい」と送ってくれる暖かさ。今回の旅で、私は、最近初めて持ったカメラつきケータイで写真を撮りまくっているんだけれど、紙テープの舞うこの光景は、写真に撮るために目を離すのが惜しくて、一枚も撮らなかった。フェリーに乗る前に利尻島一周して連れていってもらったオタトマリ沼では、「この景色はきっと写真には写らないだろう」と思いながらそれでも風景をカメラにおさめていたんだけど、このちがいはなんだろね。

稚内からチャーターバスで留萌へ。途中トイレ休憩で寄った道の駅のソフトクリームが、味が濃くておいしかった。3時間半ほどで留萌着。利尻では全員同じ宿舎だったけれど、留萌は、ビジネスホテルと温泉旅館に分宿する。劇場に歩いていける(移動が団体行動ではない)、インターネット環境がよい、というのが、ビジネスホテルの良い点。でも朝食がつかないし、大浴場もない。温泉旅館は、温泉に入れるし朝食つきなんだけど、バスで送迎してもらわないと劇場に行けないし、インターネット環境がない。さすがに30人をこえる大きな団体だと各自優先順位がちがって、温泉旅館がいいという人とビジネスホテルがいいという人とほぼ半数ずつに意見が分かれ、別々に泊まることとなった次第。ちなみに私たち夫婦はビジネスホテル組。

夜は何人かでホテルの近くの居酒屋へ。頼んだものが何もかもおいしく、店員さんの応対も機能的で無駄がなくて人間的で、とにかく非常にレベルの高いお店で、大満足。スーパーに寄って明日の朝食を確保して帰宅。

ベケットは、いま(1935年)ロンドン在住。新しく移った住まいは階上に若いカップルが住んでいて、眠れない夜、he could hear them making noisy love (P. 199)と書いてあった。このシンプルな文が、翻訳しようとすると難しい。そのことを興味深く思った。ポイントはnoisyという言葉で、声にも物音にも使うでしょ、だからベケットに聞こえたのは、「二人のセックスのやかましい声または物音あるいはその両方」ということになるわけだけど、こんな変な日本語にするわけにいかない。ちょっとあれと似てる、brotherとかsisterが年上(兄、姉)か年下(弟、妹)かわからないと自然な日本語にならないっていうのと。


09/09/2007(日)

きのうのウニ丼があまりにもおいしかったので、いえの人と二人、きょうのお昼も同じお店へ。きょうは私はムラサキウニとイクラのハーフ&ハーフを注文。ねっとりと甘い余韻を残すムラサキウニを堪能。

13時半開演で、利尻での2回めで最後の公演。きのうもそうだったけど、きょうも終演後お客様の拍手が鳴りやまなかった。

バラシの後、劇場で打ち上げ。バーベキュー。イカ焼きから始まって、生ウニ、焼きウニ、ジンギスカン、鮭のチャンチャン焼き、イカのわた焼き(ゴロツキ、と言うそうです)、ジンギスカン、ウニのすまし汁、自分で好きなように作るウニ・イクラ丼等々、北の美味しさを満喫。


09/08/2007(土)

ここのホテルの朝食は品数が多くておいしい。でもきょうはあまり食べないように我慢する。お昼にウニ丼を食べに行くことになっていたのでね。

お店では、バフンウニかムラサキウニか選べるようになっていて、またイクラとウニとハーフ&ハーフにすることなどもできるようになっていて、でもとにかくおいしいと言われるウニを堪能しようと、バフンウニのウニ丼を頼む。オレンジ色の鮮やかな、刺激的、攻撃的なおいしさのバフンウニを堪能。何人かで行ったんだけど、食べ始めるとみんな無口になったのが印象的だった。本当においしいものを食べると、人は無口になる。

2時開演でゲネプロ。割と客席に人がいて、反応があって、おもしろかった。そして、夜、本番初日。素直で暖かい雰囲気のお客様だった。終演後、作・演出の平田オリザによるアフタートークが開催されたが、ほとんどのお客様が客席に残り、率直で飾らない意見や質問をたくさん述べてくださった。客席に背中を向けたり会話が重なったりすることに驚いたという感想、涙も出なかったし大笑いするところもなかったがこんな観客にこれだけはわかってもらいたいということはありますかという質問。青年団のスタイルを承知して、それが好きで見に来てくださるお客様に、知らない間に自分は慣れてしまっていたんだなぁ、ということを、強く感じた。世界中のいろんなお客様に、もっともっと出会いたい。


09/07/2007(金)

午前中、小学校でのワークショップにアシスタントとしてついていく。とはいえ「グループ分けで人数が足りないところがもし出てきたら助っ人で入る」ための要員で、実際には小学5、6年生が21人で7人のグループがちょうど3つ出来たから、私の出番はなく、ただただ見学。そして一緒に給食を食べて戻ってきた。

午後は、場当たり。場当たりをどういうふうに進めるか(というか、何のことを「場当たり」と呼ぶか)は、劇団ごとにちがうようだ。青年団の場合は、衣裳を着て(照明の具合を見るから)、劇の最初から最後まで、この会場での見え方・声の聞こえ方にあわせて、登場・退場のタイミングや立ち位置、声の大きさなどの微調整をするのを、場当たりと言っている。

ヘアメイクは必要なかったんだけど、私は、茶髪を黒くするムースという新しいアイテムを試してみたり、新しいヘアピースの装着もやってみたかったので、髪だけやってみた。

ホテルでのダイアルアップ接続がうまくいかないので、劇場でグレ電を探す。見かけたような気がしてたんだけど、ロビーにあったそれは、データ送受信のできるグレ電ではなく、単に色がグレイのピンク電話だった。嗚呼! しかし、ケータイのメールのほうは通じてるので、それほどストレスはない。

18時前にすべて終了し、ホテルに帰る。夕食後に予定がないので、きょうはやっと夕食時にビールが飲める!とはしゃいだものの、腹ぺこでがっついたのですぐ満腹してしまい、ゆっくり飲むという感じにならなかった。夕食後、ゆっくり温泉に入る。どうもこの温泉は、これまでの人生の疲れがとにかくどんどん出るみたいで、きょうも夜10時くらいから寝てしまった。

でも寝る前ちょっとだけ本は読んだ。ベケットは28歳。ロンドンで精神分析治療を受けて、何が自分の問題かということがわかるようになってきて、それでも実家に帰るとまた不安になって夜はお兄さんと同じ部屋で寝たりしている。


09/06/2007(木)

9時から仕込み。どうも目が見えにくいと思ったら、左目のコンタクトがなかった。今朝、入れたつもりでなくしてしまったらしい。視力が落ちただけでこんなにも外界への関心が減るとは! 予備のレンズを装着し、事なきを得る。

仕込んで、昼食(お弁当)食べて、仕込んで、夕食(ホテルで。劇場のすぐ前がホテルなので便利)食べて、仕込んで、20時終了。コンビニでビールを買って、部屋飲み。メール受信を試みるが、ダイアルアップ接続がうまくいかない。温泉に入ると、きょうもどっと疲労感が。


09/05/2007(水)

雨が降ったりやんだりしている中、早朝、駅へ。最寄り駅から羽田空港への高速バスが出ているので、乗り換えを気にせず空港まで行けて便利。バスなので時間通りに着かない恐れはあるけれど、そうは言っても向こうも商売でやってるんでよっぽどのことがなければ何時間も遅れたりしないだろうと思っている。

空港で朝食(うどん)。稚内行きの飛行機で、ベケットの伝記を少し読む。でもそのほかはだいたい寝ているうちに稚内着。「ベケットのお父さんが死んじゃったよ。最後にベケットに『闘え、闘え、闘え』と言って死んじゃったよ」と友に報告すると、物語にはそういったベタな展開が必要なのかも、という感想だった。

バスでフェリー乗り場の近くまで行って、いったん解散。おいしい店をタクシーの運転手さんから教えてもらってきたという友に数人でついていき、ランチをやっている居酒屋へ。私は特上生ちらし、いえの人は特上にぎり。安くはないけれど、おいしかった。ウニ丼を頼んだ友は、無言で5分でたいらげた。最近初めてカメラ付きのケータイを持ったので、昼食の写真やら、埠頭を歩く友人たちの写真やら、撮りまくる。楽しいなぁ、カメラ。ただ、ケータイの画面だとどんなテクスチャーの写真が撮れたのかがあまりよく確認できない。まぁ、あれか。フィルムのカメラで写真撮ってるときと同じっちゃ同じだ。現像するまでわからないって感じが。

稚内から利尻島へはフェリーで。友に酔いどめの薬をもらって飲む。船の中を見て回るといういえの人を見送って、ごろごろしたり、眠ったり。後半はそれでも元気になって、甲板に出てみたりした。海の写真や空の写真や夕日の写真を撮る。

フェリーから、礼文島が見えた。利尻は利尻山が印象的だけど、礼文はわりと平らな島だった。利尻島のフェリー発着場からホテルに向かうバスの中で、同年代の友とその話をしている最中、二人同時に「礼文、島です」と言ったのがおかしかった。昔の第三舞台の台詞。

きょうは移動のみの日なので、いったん劇場に集合してミーティングをした後は、もう何も予定がない。皆で夕食。その後、学校の先生たちのワークショップがあるので、見学に行った。ワークショップのときって、最初いくつかゲームをやったりすることが多いんだけど、その中には相手・仲間との信頼関係を築くためのゲームというのがあって、演劇を一緒に作っていくためにはそりゃ相手を信頼する必要があるからそういうゲームはそのためにやるんだということを、頭では理解しているつもりだけれど、ゲームで築かれる信頼関係というのが時に危険なほど心地よいので、ああいった種類のゲームの扱いには注意が必要だ、でもあまりそういうことに注意せずワークショップを行っている人がけっこう多いんじゃないだろうか−−というふうに日頃私は思っていたのだが、きょう平田オリザがその辺のことについてきちんと説明していたので、我が意を得たり、と思いました。

平田曰く、こういったゲームは、個人主義的な欧米で出来てきたものであり、もともと和を尊ぶ日本では、やりすぎると主体性を必要以上になくしてしまう恐れがある。最初にちょっとやるのはいいが、毎回毎回やったりしないほうがいい。また、子供の頃から少しずつ慣れさせるならいいけど、大学生とかになって急にこのようなものに触れて「解りあえる!」と思ってしまったりすると方向性をあやまることがあるので注意が必要。方法論としては、カルトが使っているものと同じであり、洗脳になる危険性がある。そういうようなことを、先生方に説明していた。

ワークショップが終わってホテルに戻り、大浴場で温泉につかる。たいへん気持ちよかったんだけど、いままでの疲れが一気に出たのか、部屋に戻ると歯も磨かずに寝入ってしまった。


09/04/2007(火)

北海道ツアー出発前日。一応、何も予定のない日。最後の買い物をしたり、荷造りしたり、だらだらしたり。ご飯食べて寝て、ご飯食べて寝て、の繰り返し。こんなんじゃ太っちゃうよ。でもまぁここまで眠いということは最近きっと疲れがたまっていたんだろうと解釈し、それはそれでよしとする。

旅に持っていく荷物は、3泊でも2週間でも基本的に同じ。下着は3組で、毎日手洗いする。シャツなども手洗いだけど、きつくなってきたらホテルのクリーニングも適宜使用の予定。がんばりすぎずなるべくストレスを感じないのはこのあたり、というのが、さすがに多数の旅公演を経て、5年前くらいからわかってきたように思う。


09/03/2007(月)

北海道ツアーのための積み込み。まずはアゴラで、置き道具や衣裳やなんかを小さなトラックに積み込む。で、舞台装置を置いてある場所に移動して、もろもろ全部を4トントラックに積み込む。テトリスみたいにぱつぱつ。

帰宅して、旅の荷造り。利尻と留萌に行くんだけれど、どのくらい寒いんだろう。一応、長袖シャツを薄手と厚手と2枚ずつ持っていくことにする。

私がベケットの伝記を読んでるのを知ってる友に「今何歳?」と聞かれた。26歳。教職がいやでトリニティ・カレッジを辞めてドイツ(まだペギー・シンクレアに未練があるらしい)そしてパリに行ったけど、半年でダブリンに戻ってくるはめになっちゃった。居場所がない肩身の狭い思いをしているらしいけど、週一でピアノ習ってるって、なんだそりゃ。


09/02/2007(日)

なんだか昼夜逆転。寝ても寝ても眠い。

きのう購入した『ぼくには数字が風景に見える』(ダニエル・タメット著、古屋美登里訳、講談社)読了。ベケットの伝記も、あいかわらず読んでいる。トリニティ・カレッジの講師をとうとうやめたあたり。


09/01/2007(土)

『ソウル市民1919』自主通し稽古。事務所でしばらく仕事して、夜はRoMTの通し稽古を見せてもらいに春風舎へ。本番は北海道ツアー中で見られないので。その後、一緒に見に行った何人かでちょっと飲んだ。夜中、RoMTの友から心配そうなメール。挨拶せずに帰ってきちゃったからなぁ。公演間近の俳優を不安な気持ちにさせてしまった、申しわけない。急ぎ返信。


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