つれづれなる日々

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2010年1月の日々


01/31/2010(日)

ICUの同窓会があるとのことで、参加する。以前、あれは2002年だったか初めて「東京ノート」パリ公演をしたときにパリにいるICUの先輩たちが食事会に招いてくださったが、今回は、ICU同窓会の新年会に、私も同窓生として参加したというような流れ。同じテーブルになった人に私と同じ第2女子寮にいた人がいて、寮の話をしていて、
「『男が欲しい』の踊りは、いまもありますか?」
と聞くと、あるとのこと。あれは私の友だちが始めたんです、と言ったら驚いていた。いまのバージョンを見せてもらったが、昔よりも洗練・様式化され、かわいくなっていた。

まだ宴の続く中、途中で失礼して、パリに住んでいる友だちに会いに行く。なにやらかにやらはなしていて、気づくと3時間近くたっていた。

ホテルに戻り、荷造り。明日からリヨンなのでね。

ネットは、きのうからずっと調子いい。


01/30/2010(土)

知り合いの演出家のおうちに遊びに行く、友だちも誘っていいよと言われている、という友にくっついて、ブランチをいただきに初めてのお宅にうかがう。ベーコンとポーチドエッグ、野菜サラダ、フォアグラ。チーズ、手作り林檎タルト。きのうの公演をご夫婦で見てくださったのだけど、原作のフランスでの上演も見ているそうで、比較してどうという話なども聞けてとても興味深かった。「ナベット」についても、もともと機織のときの杼(ひ)のことであるということを教えてもらってものすごく納得がいった。だからおんなじところを行ったり来たりするもの(舟であれ、バスであれ)をナベットって言うんだね。

いったんホテルに帰り、洗濯した後、2時間ほど昼寝。ののち、シャペルにあるピーター・ブルックの劇場ブッフ・デュ・ノールに、ジョエル・ポムラの「Cercles/Fictions」を見に行く。フランスにはいままで何度か来てるけど、演劇を、やるばっかりで、見るのは私はきょうが初めてだった。円形の客席が、円形の舞台空間を囲んでいる。その中で、わりと短いシーンが次から次へと繰り広げられていく。見る前に、なんとなく、身体に寄った公演なのかと(理由なく)思っていたんだけど、ばりばり会話劇だった。私はフランス語がわからないので、内容はさっぱりわからなかったが、観客の反応や、俳優の立ち方や、照明や、転換の見事さや、を堪能した。ただ、一見つながりのないシーンの連続の中から何か大きな枠組みが立ち上がってくるというような公演だと思うのに言葉がわからないためにその枠組みがなんなのかさっぱりわからないので、最後の40分くらいは飽きてしまった。

座組の人たち大勢で一緒に見に行ったんだけど、別れがたく、ホテルの近くでなん人かで、飲みながら感想等を話す。あぁ、こういうのが、shareするってことなのね。

深夜、自室でネット復活。このままつながり続けてくれ!と祈る。


01/29/2010(金)

朝食後、ロビーでパソコン。フロントの人が、まだ部屋でつながらないのか?、技術の人にもう一度電話してみる、と言ってくれる。昼頃、食料品の買い出し。の後部屋にいると、フロントから電話がかかってきて、ネットの会社の人が何か対策をしてみるが15分くらいかかるそうだ、15分後に回復したかどうか知らせてくれ、と言われる。どうせつながらないよと思っていると案の定つながらない。再度かかってきた電話に、変化ないことを伝える。

夕方劇場に入る。来週のリヨン行きのスケジュールの説明などを受ける。そして公演は20時30分開演。きょうは帰りのナベットが満席で、私たちは乗れないかもしれないということだったけれど、結局「空き席が28あります」とのことで無事みんなバスで帰ることができた。


01/28/2010(木)

あいかわらず部屋でネットにつながらない。ロビーにおりていくと先客が。「あなたも部屋でインターネットにつながらないのですか?」「そうです」「この2日ほどでしょ?」「そうです、その前はパーフェクトだった」。2人でフロントの人に、「なんとかしてくれ」と言う。

ピガール駅に集合して、メトロからRERに乗り換えて、駅からまたバスに乗って、ブラン・ムニルの劇場へ。1時から場当たり。6時には終了し、7時開演。のはずが7時に劇場内に行ってみるとスタッフ同士の話し声がする。まだ開場していない。理由を聞くと、「ナベットがまだ着きません」。ナベットって、NHKのフランス語講座ではナントの渡し舟のことだったけど、いまは送迎バスのことみたい。「送迎」つまり同じところを往復するところがキーポイントなのかな?

それでもそのうちナベットも無事着いたようで開演。あまり笑わないけれど、しっかり見てくれているのはよくわかった。終演後、見に来てくれていた友だちたちとロビーのバーで話す。ナベットでお客さんたちと一緒にパリまで戻る。その車中、友と演劇の話などする。鳥で実はうまくいかないことがあって、でもきょう関係者ではなして解決したという話をしたら、「(もっと)コミュニケーションとれよー」と苦笑していた。そろそろナシオン駅に着く頃、「きょうはだれだれさんの誕生日だから、アルノーが家に飲みにおいでと言っている」とのアナウンス。このタイミングでは無理だよ。ナシオン駅から地下鉄で帰宅。


01/27/2010(水)

いい天気。寒いけれど出掛ける。ブロシャン駅近くに屋内の市場があると聞き、地図で確認して歩いて行ってみた。途中、パスカル・ランベールの「愛のはじまり」の台詞に出てくるエルネスト靴店や聖リタ教会(チャペル)の前を通る。前にパスカルに一度案内してもらったことがあったねこの辺。しかし寒い。歩道から車道に降りたところのくぼみにたまった水に氷が張っていた。子供のときみたいに踏んで割ってみたら、楽しい気分になってきた。

市場は、想像していたよりも小規模で、行った時間が遅めだったのもあるんだろうけれど閑散としていた。友だちに教えてもらったおにぎり屋さんで、おにぎり2個買った。1つは具が「シナチクとベーコン」と言われ、味の想像がつかなかったけれど、食べたら美味しかった。帰りはプラス・ドゥ・クリシーまで地下鉄で行った。寒いんだもん。そして、ムーラン・ルージュの向かいのモノプリで買い物。きのうも来てるのに地下食品売り場への階段が見つからず、店舗から出たり入ったり出たり入ったりしてしまった。ないはずないのに、どうして見えなくなるんだろうなぁ。昔森茉莉のエッセイで、どこかに行くのに目印の橋がどうしてもない、やっとあったと思ったら縦横がちがってた、というのを読んでそんなバカなと思ったのに、いま自分がそんなことになっている。

気がつくと所持金が5ユーロになっていた。カードはあるんだけど。

きのうの夕方から部屋でネットにつながらない状態が続いている。地上階(フランスで言うところの0階)のロビーではつながるので、きょうの午後は、だいたいロビーにいた。フロントの人に状況を話し、チェックしてくれと言ってみるが、変化ないのは予想どおり。

部屋でネットにつながらないと、不便でしかたがない。部屋で好きな時間にメールを読んだり書いたり、ウェブで調べ物をしながら文章を書いたりするのに、自分がものすごく慣れてしまっていることに気づかされる。


01/26/2010(火)

外を見ると空が白く曇っていて、ちらほら雪が舞っている様子。今週からまた寒くなるというのは本当だったんだなぁ。

きょうは1日部屋にこもると決める。お掃除の人には、新しいトイレットペーパーだけもらった。

ポンピドゥー・センター界隈のアパートに住んでる友だちが、アベス館(ホテルから徒歩2分)に演劇公演を見にくるというから、終わったら飲みませんかと誘う。のべ5人の部屋飲みになった。1人で静かに過ごす日かと思ったら、最後がにぎやかでそれも楽しかったな。


01/25/2010(月)

2月にパリに来る友だちと、何をするか計画などを話す。Skypeって便利ね。

お昼はホテル組の友だち誘って近所のカフェでご飯。きょうのスペシャルのまん中のやつ、って頼んだら、牛肉とフライドポテトだった。おいしかった。

その後、1人でポンピドゥー・センターへ。ポンピドゥー・センターというのは建物名でそこの4〜6階にある美術館は国立近代美術館なんだね。その区別がいままでわかってなかった。エスカレーターでまずは6階に。このアクリルの風防ガラスが、キズだらけ(いたずらとかじゃなく、経年変化で)で、きれいな写真が撮れないのはホントに残念。ホテルのあるモンマルトル辺りを見る。あぁ、あんだけ地形が盛り上がってるんじゃ坂がきつくてもしかたがないなと思う。サクレ・クール寺院が大きくてビックリする。

前回来たとき最上階の特別展をまず時間をかけて見すぎたので、きょうは、4階から見ることにする。常設展示かと思ったら、女性をフィーチャーした企画展示になっているようだった。この美術館はとにかく展示品の数が多く、展示スペースも多く、1つの部屋から出てくるたびに、自分がどこにいるのかどこに向かっているのかわからなくなる。全部を見るのは不可能と早いうちにあきらめがつき、ふわふわと気の向くまま進んだ。

6階のPierre Soulages展も含め、3時間ほどかけて見たけれど、きょうは個々の作品とあまり向き合えなかった気がする。物量に圧倒されたのと、作品名の表示がだいたいちょっと作品から離れたところにあってどれがどの作品のタイトルなのかわかりにくかったのも理由の1つだと思う。

ここから始まって、ここで終わる、というタイプの作品(映像など)は、私は最初から見始めて最後まで見たいんだけど、途中で入ったり出たりできるので、気に入らなければすぐ通り過ぎちゃうし、気に入ったら途中から最後まで見てもう1度最初から見直すという中途半端なというか、作者の意図とおそらくちがう見方になってしまうのが少し不満だった。


01/24/2010(日)

マルシェ(決まった曜日に決まった場所に立つ市)で買い物してつくったり食べたりする会に参加。マルシェに行って食料品を買うのは初めてだった。チキン1羽をローストしてたり、いろんなチーズ、いろんなオリーブ、いろんなパンを売ってたり、魚介類もあれば野菜も豊富、そのあいだにアクセサリーや化粧品、毛糸なんかも売ってたりして、ものすごく面白かった(マルシェで何か買って帰って朝食にする、というのを今度やってみたいです。)けれど、空腹だったのと寒いのとでみるみるうちに弱ってしまい、小雨も降り出して、
「もう、私、八甲田山みたいになってきた」
と降参宣言。じゃぁいったんアパートに行こう、となり、他の人たちが再度マルシェとかスーパーに出掛けていく中、私ともう1人とは、買ってきたパエリアを早くも食べ出す。ちょっと食べておちついた。料理自慢の人たちが入れ替わり立ち代りキッチンで腕をふるい、キッシュだとかローストビーフだとか切りぼし大根の煮物とか、あとマルシェで買ってきたおいしいものたちとか、ご馳走がいっぱいだった。

早くに帰る人があったり、夕方から参加する人があったりで、宴のまだ続く中、私は6時前にさようなら。もう眠くてたまらん。帰りのメトロで、日本とちがって寝たらダメだ、とがんばって起きていたが、一瞬くらい意識がなくなったと思う。ホテルに帰り、9時前だけどもう寝てしまおうかと思う。もう、早寝早起きでいくよこうなったら。とはいえ、公演期間になったらまた夜型のスケジュールになるんだけれどもさ。


01/23/2010(土)

きょうから5日間、オフ。

洗濯したあと、とにかくパンツを買う!と出掛ける。サン・ラザール駅で降りて、ギャルリー・ラファイエットとかプランタンとかのデパートを攻めるつもりだったんだけど、すぐのところにあるアーケード街に入ってみると意外と大きく、その中のGAPとH&Mでパンツ3本購入。あと、カバンも買った。ネットブックが入る大きなハンドバッグがほしかったので。このカバン屋さんは、店員さんの対応がよかった。見てるとフランス語で何か話しかけてきて、「ごめん、フランス語わかりません」と英語で言うと、いままで何軒かの店でこういうことがあったときはその店員さんは、あぁ失礼しましたという感じで去っていったんだけれど、きょうの人は、英語に切り換えて「よろしかったらあちらに鏡があります」と言ってきた。で鏡の前で、持ってみたり、内ポケットを確認したり、いろいろしていたら、すぐ隣で他のお客様の腕時計の調整か何かをなん人かがかりでしていた別の店員さんがちらりとこっちを見て、「気に入りましたか?」、「(ショルダーストラップの)長さがかえられないの?」、「かえられないけど、ショルダーストラップをとりはずして、短いストラップのほうで肩からかけられますよ」、と説明してくれる。もちろん商品が気に入ったのが一番だけど、その2人の店員さんの対応も気に入って、さらに、セールで2/3くらいになっていた値段も気に入って、買いました。

それで満足して、ホテルの近くまで帰ってきて、カフェで1人ランチ。カモのグリル。つけあわせが、ジャガイモだと思ったらパスタがついてきた。今度からよく説明してもらって注文するようにしよう。

夕方、ホテルからTATIというデパートまで徒歩で行ってみた。ずいぶん昔の暮しの手帖で、多くの人が買えるように安いものを揃えている店として、その経営方針を称えつつ紹介する記事があったので、ずっと気になっていた。その後「そんなにたいした店ではないよ」という話も聞いていて、たしかに行ってみたらそんなにたいした店ではなかったけれど、前から行ってみたかったので、念願かなって嬉しい。シャペル大通りを戻ってきて、カルフールで食料品の買いだし。レジが、列も長いしなかなか動かない。列の長さと並んでる人たちの買い物の多さ(ビール1パックの人もいれば、これどうやって運ぶんだってくらいカートいっぱいの人もいる)の兼ね合いで、どの列に並ぶかを決める。なかなか進まなくて、隣の列のほうが早いかなと思う瞬間もあるけれど、これでもし隣に移ってもとの列のほうが早かったりすると気がもめてしかたないから、こういうときは一度決めたらめったに変更しないことにしている。辛抱強く待っているうち、日が暮れた。別の列に並んでいる人は、待ちながら本を読んでいた。なるほど、そういうつもりなんだなぁ。

買ってきたお惣菜類で夕食。オフの解放感があるんでしょね、1664、きょうは3本飲んだ。買ってきたパンツの裾上げもした。


01/22/2010(金)

ホテルの朝食が食べたくなくて、部屋で簡単なものを作って食べる。きょうは4時に出掛けるまで部屋にこもると決める。午後になってお掃除の人がドアをノックした。いつもだと「後で」とお願いするんだけど、きょうは、タオルだけ交換してと(フランス語の単語を並べて)頼み、タオルと後バスルームのゴミ箱の中身だけきれいにしてもらった。係りの人が、メルシィ、マダム、メルシィ、とすごく感謝していた。いつも遅くまで部屋にいてすみません。

ホテル組のもう1人と一緒に、みんなより少しだけ早く劇場に行き、隣のショッピングモールを見たけれど、特に収穫なし。フランスに持ってきているパンツ(ズボン)2本のうち1本(ジーンズ)はお尻に穴があいてるのを知っていた(履きつぶして捨てるつもり)が、今朝見たらもう1本のほう(コーデュロイパンツ)もお尻のところが薄くなっていて、いつすりきれるか時間の問題という状態だった。で、パンツ見て回ったんだけど、きょうは何も見つからず。

きょうのお客様は、きのうまでの反応のよさとはがらりかわって、舞台と距離をおいて客観的に見る感じだった。別にがっかりとかはしなかったけど、こういう日もあるんだなぁ。フランスでの公演経験の多い友が「パリの初日もたぶんこんな感じだと思う」と言う。そうかもしれない、2002年に「東京ノート」を初めてパリで公演したときの初日もそんなだった。でも終演してみると、カーテンコールの拍手はあたたかかった。

公演終了後は、キャストは小道具の片づけをある程度済ませて終電で帰り、あとはスタッフが撤収作業を続けてタクシーで帰る、という段取り。終演が11時で、終電に乗るには11:25には劇場を出ないといけない。それでも小道具のパッキングまで済ませ、劇場を後にする。劇場のバーでビール1杯飲んでから走って駅に行く、という人もいたけど、これから電車に乗ってメトロに乗り換えて1時間半近くかけて帰ることを考えると、私はビールを飲む気になれないんだ。お腹すいたので、買っておいたラップサンドは食べたけどね。

ホテルの近くの夜中までやっている商店に寄って1664(ロング缶)1本買って帰り、部屋で飲む。


01/21/2010(木)

カーンのホテルの朝食はバラエティに富んでいたけれど、パリのこのホテルのは、パンと飲み物の他、チーズくらいしかない(シリアルもコーンフレークのみ)。後はジャム、蜂蜜。けさ「もう、しょっぱくないもの、汁っぽくないものを朝ごはんに食べたくない」という気持ちになり、朝食会場にいったんおりてバゲット2切れとバターと紅茶ティーバッグを持って部屋に戻り、パンにハムをはさんだり、サラダも添えたり、インスタントスープも作ったりして、しょっぱくて汁っぽい朝食を摂る。

その後、出掛ける時間まで部屋にこもり、手洗いでジーンズまで洗濯したり、他の用事をしたり。

きょうは開演が7時半なので、集合もきのうより1時間早い。この時間だときのうまでとは別のルートで行くことになるとのことで、オルセー美術館のとこまでメトロで行って、そこからRERに乗り換える。ホテルに家が近いフィリップが毎日一緒に行ってくれてるから行けるけど、私1人だったらちょっと自信ないです乗り換えとか。
きょうはお客さんが少ないですとのこと(きょう来るはずだった高校生の団体45人が、まちがえておととい来ちゃったから)で、たしかにあちこちに空席があったけれど、それでスカスカすることもなかった。客席と舞台が近いのってやっぱりいいね。

きのう終演後にお腹がすいて少しいらいらしたので、きょうは開演前に食料を調達。近くのショッピングモールで、ラップサンドを購入。このモール、なかなか面白そう。明日ちょっと早く来て、見てみようか。

おととい「バリエーションをつけてみてほしい」と言われて試してうまくいき、きのうはそれが裏目に出た、というか、「力を抜きすぎていたところがある」と言われ、再調整してきょうの舞台に臨む。なかなかよいバランスでできたのではないか。

きょうのビール祭りは1664の500ml缶2本。つまみは、ホワイトマッシュルームとオリーブ。グァカモーレとクラッカー。最近あんまり飲まないので、お酒が弱くなった気がする。


01/20/2010(水)

小雨降る中、おとといも行ったテアトル・ドゥ・ラ・ヴィルにチケットを買いにいく。おととい来た道なので楽勝のはずだったのに、メトロから地上に出るところで何かまちがったらしく、見える景色が違う。でもこの交差点なのはたしかだから大丈夫、と思ってあっちに行ってもこっちに行っても劇場がない。11時発売開始なのにすでに11:20。人に聞くしかない。ちょうどメトロの階段をあがってきた、美しいおばさんに、「エクスキューゼモア。テアトル・ドゥ・ラ・ヴィル。ウ」と聞くと、あっちよ、と教えてくれたけど、「○○は、あっちよ」の○○がどうもテアトル・ドゥ・ラ・ヴィルっぽくない。もう一度「テアトル・ドゥ・ラ・ヴィル」と言ってみると、あぁあぁ劇場ね、えっとそれは……とおばさんが歩き出した前方を見たら、あったあった! すぐ前だった。親切なパリの人、ありがとうございました。アラン・プラテルのチケットも無事取れた。

セーヌ川沿いをしばらく歩き、なんだこの大きな建物は?と思ったらルーブル美術館だった。中庭に立って、「東京ノート」の台詞をつぶやいてみる。(お姉さんも行ったんでしょ、ルーヴル)「うん、行った」(大きいんですかそんなに)「うん、大きい」「こうお城があってね……宮殿かな、全部美術館なのねそれが」。

それから、この辺りに地下鉄に通じる地下商店街があったはずとうろうろしてそれらしいところに入ったらまさにそこで、自然化粧品の店などぶらぶら見てから帰途に着く。

メトロでピガール駅で降りて(ホテルの最寄り駅はアベス)、カルフール(スーパー)で食料品を買い込み、いったんホテルに戻る。ピガールという地名、一番最初に知ったのは竹宮恵子のまんがだった。身体の弱いオーストリア人だかドイツ人だかの若いピアニスト(男性)がパリに 演奏しに来てて、夜に出掛けようとして同行者にどこに行くんだと問われ、「ピガールに女を買いに」と答える(病弱なんでもちろん冗談)シーンがあった。

ホテルに滞在してる俳優とピガールのアパートに住んでる俳優は、ピガール駅に集合して一緒に劇場に行くことになっているので、再度ピガール駅に向かう。駅前のサンドイッチ屋でお昼用にバゲットサンドを買う。3.5ユーロだったので1ユーロのコインを4枚渡したら、おつりをくれない。ちょっとと言うと(具体的になんて言ったか忘れちゃった。以下のやりとり、英語です)、
「あなたは3ユーロ払った」
とか言う。レジの機械には「3.5」って出てるから、どちらにしろおかしな話なんで、
「私は4ユーロ払った」
「いや、3ユーロだ」
「4ユーロ払った」
「1、2、3(と出して数えてみせる)。3ユーロだ」
「3.5でしょ?」
とレジを指差すと、1ユーロ3枚、50セント1枚を数えてみせる。頭にきて、
「1ユーロを4つ渡した」
と言うと、
「たしかか?」
と言うから、そうだと言ったら1ユーロ返してくれた。目をにらみつけて「メルシー」って言って出てきた。50セントごまかすなんてせこいことがあるんだろうか、私がホントにまちがえたんじゃないだろうか、とちょっとだけ思ったけど、3ユーロ見せたり3ユーロ50セント見せたりする態度がおかしいし、たしかに同じコインを4枚渡したと思うし、これで一件落着ということで。

そして2日めの公演も無事終えて、きのうと同じ電車で帰宅。きょうは久しぶりにビールガンガン飲んでやるぜと思ってたんだけど、シメイ1本飲んだらもう満足してしまい、盛り上がらないビール祭りだった。


01/19/2010(火)

12時にメトロのピガール駅の前で集合し、みんなで劇場へ。きょうから4日間、パリ郊外のサン・カンタン・アン・イヴリンで公演だ。井の頭線沿線からキラリ☆ふじみに行くくらいの遠さかな(でも駅から劇場はすぐ)。途中、電車の窓からベルサイユが見えた。

カーンの劇場は客席最前列は舞台から見下ろす位置にあった。ここは、舞台面と客席最前列が同じ高さなので、目線の位置がだいぶかわる感じがした。客席数はカーンの半分以下。でも、カーンほど声が響かない。むしろいくら大きな声を出しても吸われてしまうので、気をつけないとがんばりすぎて声を枯らしてしまうかもしれないと思った。

場当たり稽古が予定通りさくさく進み、8時半開演。この劇場では、声の小さなニュアンスまでとてもよくわかる。通路までびっしりのお客様は反応もよく、カーテンコールもなかなか終わらなかった。初日乾杯があるというのでロビーに出ると、作者のビナベールさんがいらっしゃってた。回を重ねてみんながより自由にやっている、と言ってた。嬉しそうだった。

終演した時点で11時を過ぎていたので、ホントに1口2口シャンパンいただいて、きのうと同じ電車(終電の1つ前)でみんなで帰る。

部屋に戻りメールをチェックすると、友から嬉しい知らせが。


01/18/2010(月)

オフ3日め。朝食のときに会った人たちと、きのうは何をしたとかパリでどこに行くといいとか情報を交換する。ホテル(モンマルトル)からコンコルド広場、凱旋門、シャンゼリゼと歩いてまわって、歩いて帰ってきたという人がいてビックリした。相当歩いたね。

きょうの私の目的は、来月見たいダンス公演のチケットを買いに、シャトレにあるテアトル・ドゥ・ラ・ヴィルに行くこと。以前ウェブで調べたときこの公演のチケットは「1/18発売」と書いてあったのできょう行くことにしてたんだけど、ゆうべ再度ウェブを見ると、2/8の公演のチケットは1/18発売、2/9の公演のチケットは1/19発売……というふうに変わっていたので、たぶんきょうは買えないだろな、でもとにかく行ってみよう、という感じで行きました。2/10のチケットを買いたいと行ったら、水曜日に来てくださいと言われ、やっぱり買えなかったんだけど、チケット売り場の場所や買い方が確認できたし、英語で大丈夫なこともわかったので、よかったです。あさってもう一度行く。

あとはぶらぶらサン・ルイ島で雑貨屋さんを見てまわり、メトロで移動して、おととい行ったギャルリー・ラファイエットやおととい行かなかったH&M、GAP、MANGOなどをまわる。H&Mでセールになってたブラウス3枚購入。GAPでパジャマ購入。あと、靴屋で靴を1足。満足して、空腹で帰宅し、クラッカーとバナナとインスタントスープで簡単な昼食。近所のスーパーに買い出しに行き、夕食は、ブロッコリーをゆでたりサトウのご飯を温めたり、けっこうちゃんと自炊した気分。

パリのオフ3日めにして、やっときょう1人歩きしたわけだけども、1人もまたいいもんだね。街の景色や人々が、よく見える。

明日から2カ所め(サンカンタン)で公演だ。気持ちを切りかえよう。


01/17/2010(日)

起きると青空。晴れた空を見るのは何日ぶりだろう。フランスに来て2週間、ずっと天気が悪かった気がする。曇ってるか、雪か雨。

朝食のとき一緒になった友がサクレクール寺院に行くというので、便乗。ホテルから歩いていけるんだよ。京都の清水寺の参道のすぐ脇に住んでるみたいなもんだなこれは。礼拝の最中だった。美しいのやモダンなのやかわいいのや、さまざまなステンドグラスがあった。圧倒的な天井画があった。売店で絵葉書を売っていたけれど、この絵の圧倒的な感じは、実際に見ないとわからないと思った。続いて、5ユーロ払ってドーム展望台へ。石のらせん階段をひたすらのぼる。まえにノートルダム大聖堂にものぼったからだいたいどんくらい大変かわかってはいたけれど、途中ちょっとだけくじけそうになった。でも上からのパリの眺望はすばらしく、5ユーロはらったかいも大変な思いをしてのぼったかいもあった。

おりて、アベス駅近くでごはんにする。この辺りは日曜日でもやっているカフェ、食料品店が多く、これだったら日曜の食事のことを心配しなくて大丈夫そうだった。きのうの昼に別の友と行ったカフェにきょうも行く。黒板に書いてある「きょうのスペシャル」的なものの中に「鶏のなんとか風スパゲッティー」と読めるものがあり、私はそれを頼んだ。他は、タルタルの人とオムレツの人。ゆっくりご飯食べて、ビールなんかも飲んじゃったらもう出掛ける気がなくなり、ホテルに戻り、洗濯したり、友や夫と電話ではなしたり(2月にパリで見る公演のチケットを先日ネットで予約したんだけど、「当日開演30分前に劇場で受け取り」のはずのチケットが日本の自宅に郵便で届いたとのこと。あらららら)。夕飯は、さっき買ったパンと、買い置きのルッコラ、インスタントスープ。そしてきょうも早々に寝る。


01/16/2010(土)

このパリのホテルはとても居心地がいいけれど、とてもコンパクトで、部屋も床面積の大半をベッドが占めているという感じだ。ロビーの、朝食を食べるスペースも、小テーブルと椅子が所狭しと置かれていて、大きなヨーロッパ人たちがきゅーっと固まって朝食を食べていた。でも、カーンとパリの移動で乗った大型バスも座席の間隔が日本のバスより狭くて窮屈だったし、フランスの人は狭いのがあんまりイヤじゃないのだろうか。

友人の買い物に付き合って、ギャルリー・ラファイエット(デパート)に行く。オペラ座のある辺り。H&Mの大きな店舗などもあった。また今度ゆっくり来たい。ホテルの近くまで戻って昼食。カフェで、友は2日連続でタルタルステーキ。生肉が好きなんだって。私は、クラブサンドイッチ。具が、チキンかサーモンか選べるようになっていた。スモークサーモンを挟んだクラブハウスサンド、おいしかった。半分でお腹いっぱいになったので、残りは包んでもらって持って帰る。

友と別れ、部屋で、まだ午後3時だけどパジャマに着替えてくつろぐ。洗濯もした。フランスに来てから、乾燥しているせいだと思うけど手肌がかさっかさだったのできのうハンドクリームを買ったのだけど、いい匂いだなとつけながら、これはセールで6.5ユーロほどで「ちょっと高いけど奮発して買っちゃえ」と買ったものだけど日本ではいくらくらいするんだろうと思い、調べてみると1,680円する商品であることがわかった。うわ。

パリに来てやっと、パリのことを具体的に考えられるようになった。今まで、見たい公演のチケットを取ってもらったり何日に何を見るということを考えたりしてはいたんだけど、自分がたとえばメトロに乗ってどこの駅まで行くのかというような具体的な想像がまったくできてなかった。きのう今日と少しだけど街を歩いて、ようやく、パリと自分が、私の頭の中でつながった。こうならないと、地図見てもガイドブック読んでも内容が頭に入らないんだ。というわけで、遅まきながら地図見てガイドブック読む。Googleマップの便利さを知る。

そして早寝しすぎて、起きたらまだきょうだった。一人時間差攻撃みたいになっている。攻撃ではないけれど。


01/15/2010(金)

バスでカーンからパリに移動。14時前にホテルにチェックインを済ませ、あたりを少し案内してもらい、カフェで食事。羊肉のカレー煮込み、おいしかった。モンマルトルの、「いかにもパリ!」という界隈で、食べるところもテイクアウトできるところもたくさんあり、嬉しくなる。とにかく、街中なのが嬉しい。スーパーで買い物して帰る。

都会な分、ホテルの部屋は狭く、歩くたびクロゼットにぶつかるくらいだけど、あったかいし、なかなか良い感じ。インターネットも、前のホテルではつながりにくかった(部屋によるようだった)けれど、ここは快適。


01/14/2010(木)

はじめて、めざましで起きた。9時。やっと時差ボケが治ってきたのかもしれない。午前中は部屋で、洗濯したり日記を書いたり。お昼は外に食べに出ようと思ったけれど、天気も悪いのでおっくうになり、買ってあった「8分ゆでればよい」という長粒米を湯沸しポットでゆで、日本から持参のふりかけとみそ汁でさっぱりとした昼食に。

4時集合。きのうのダメ出し。それと、きのう本番直前にけっこう大きな変更があったことについての説明。演出家は、どういう経緯でその変更に至ったのかその変更がどのようにリーズナブルなのかそしてそれがどう効果的だったかということを説明するんだけど、俳優からは、「それはわかったし決定に異議はないが、変更すると決まったらそのときに教えてほしかった。本番中舞台上で、今までとちがうことに気づき、『トラブルがあったのか?』と動揺した」という意見が出た。演出家としては、本番直前の俳優を動揺させてはいけないと思ったのできのうは知らせなかったとのことなんだけど、情報が共有されていないことで俳優が受けた動揺のほうが大きかったんじゃないかと、私も思う。もちろんそれでも私たち本番はちゃんとやったんだけどさ。長く付き合っていくためには、こういうときにお互いの考え方感じ方のちがいを認識していくことが、必要になってくる。お互いのちがい自体やそれによって自分の考え方が変化していくことを面白いと思えない人同士は、共同作業はむずかしいだろう。

そして7時半開演。きのうと同様にのりのいいお客様だった。

終演後、小道具の梱包を俳優たちで担当。そうこうするうち、数日前になくしたと思っていたTシャツが出てきた(ずっと男子楽屋にあったそうです)のは嬉しかった。衣裳の片付けも少し手伝ったのち、劇場のバーで夕食。スタッフは引き続き撤収作業をしているが、バーはもう閉まるみたいで、スタッフは食事は大丈夫なんだろかと心配になったが、後で聞いたところ、撤収作業が遅くまでかかることが予想されたのでスタッフは先に食事を済ませたとのこと。ちゃんとそういうふうになっていて、よかった。

明日の移動に備えて荷造りをほぼ終わらせて、就寝。


01/13/2010(水)

8時過ぎ、朝食。部屋に戻り、洗濯したり、初日プレゼントの準備をしたり。フランスでは公演初日にちょっとしたプレゼントを贈りあう習慣があるとのことで、まぁ人によってやるかどうかどのくらいやるのか様々なみたいなんだけど、今回私は、フランス人にはうまい棒、日本人には一口羊羹を用意してきたので、それにリボンを結んだり名前のカードを付けたりを。

12時ロビー集合で中華を食べにいくというチームに合流するつもりだったけれど、そんなこんなで午前中が終わってしまい、まだ出掛ける準備ができていなかったので、中華はパス。結局お昼は、パン屋さんでバゲットのサンドイッチを買って、あたためてもらって食べた。チーズとチキンのサンドで、マスタードがきいていておいしかった。ちょっと胃にもたれたけれども。

アップしているとき、れいこさんを誘って「手のひらあわせ」をやってみる。てのひらをこうやってあわせて、このあわせたところを絶対に離さないんだよ、手が下になってる私がリードするからついてきてね、と簡単に説明してやってみると、最初から、手のひらがぴたっとくっつく感じだった。日野先生の夏の東京ワークショップでも11月の福岡ワークショップでもこんなことはなくて、だれと組んでもわりと点と点で接触してるだけみたいなときが多かったので、少しビックリした。れいこさんにそう言うと、すでに信頼関係ができている人とやるのと初対面の人とやるのでは違うのではないかとのこと。たしかにそのとおりかもしれない。

4時集合で、歌とダンスをみんなでおさらい。5時前に終了し、公演の準備に入る。きょうの公演は、8時か8時半開演だと思い込んでいたが、この時点で、7時半開演と知る。知らなかった人、けっこう多かったみたいだ。時間的にはそれでも充分余裕があり、問題は、ない。

開場した客席から観客のざわめきが聞こえてくる。雪のため集客が心配されていたけれど、どうやらお客様はいるようだ。開演して、最初のシーンから観客の反応が良い。楽しむことに貪欲な感じ。シーンによっては、笑いすぎじゃないかと思うくらい笑っていた。

終演後アフタートークがあり、その後、劇場のバーで初日打ち上げ。生牡蠣が出た。日本人の俳優の多くは、一瞬、食べてもいいか躊躇したらしい(牡蠣はあたると大変だから本番期間中は自主的にひかえたり、食べるなと言われたりすることがあるからね)が、そのとき私はすでに牡蠣に口をつけていたらしい。牡蠣もスモークサーモンも生ハム(だと思う)もフォアグラもおいしかった。「鳥の飛ぶ高さ」の原作戯曲と翻案戯曲を同時収録した書籍がフランスで発売になったばかりで、私たちも1冊ずついただいた。2人の作者(ミシェル・ビナベールと平田オリザ)にサインを求める人たちが列をつくっていた。きょうはビナベールさんのお誕生日でもあり、みんなで歌をうたってケーキでお祝いした。

気温があがったようで、雪をとかす雨の降る中、満ち足りた気持ちでホテルに帰った。


01/12/2010(火)

あいかわらず早朝にめざめ、7時に朝食。きょうはだれとも会わなかった。部屋に戻って二度寝。

きのうの時点では、きょうの稽古は3時からの通し稽古のみ(夜は、ビナベールさん、アルノー、オリザのトークショーが別会場であるので、稽古なし)という予定だったが、昼食時に、「雪が降りそうなので、トークショーがキャンセルになるかもしれない。なれば、通し稽古は夜」といううわさが流れ、そのうち「トークショーがあるかどうか、2時半に決定して知らせます」とのアナウンス。で、結局トークショーはなくなって、3時〜6時抜き稽古、8時から通し稽古(ゲネプロ)ということになる。

きのうほどではないが今日も劇場が寒い。劇場スタッフがうっかり搬入口をあけてしまったので冷気が入ったとのこと。頼むよ、もううっかりしないでね。楽屋から毛布をもってきたりして寒さに備える。

おとといと同じく、日本人にフランス語の台詞があるシーン中心に抜き稽古。終わって夕食をとっていると、作者のビナベールさんが入ってきた。なつかしい気持ちでいっぱいになる。お元気そうでなにより。

通し稽古は、全体が良い流れになってきたように感じた。終わったとき、やり遂げた!という気持ちがあって、ちょと泣きそうだった。でも、その気持ち、全部ウソとは思わないけれど私の勘違いや思い込みの部分も結構大きいと思うんだ。

ダメ出しの後、ホテルのロビーで少しビールを飲んで話す。スタッフの人たちとかまだいたけれど、私は眠くなって早々に引き上げる。


01/11/2010(月)

きのうはオフで、寝たり起きたり寝たり起きたりしていた。その流れでけさ3時半にめざめ、ベッドで本など読んでいると、急に胃が痛くなり、冷や汗かきながらのたうちまわること1時間強。ようやく少しおさまって、眠りに落ちる。8時過ぎに起きたときにはだいぶよくなっていたけれど、きょうは1日、消化のよさそうなものだけ食べといた。パン、りんごのピュレ、スープなど。

稽古前の午前中、近くのショッピングセンターに行ってみた。30%オフの靴を1足と、絵葉書1枚買う。

昼食後、午後の稽古は、フランス語の台詞のある日本人のシーン。その後、きょう劇場で別の講演会があるため4時から8時半まで長い休憩(途中で夕飯)。8時半から通し稽古。気分が悪くなるくらい寒かった。あとで聞いたら、きょうの講演会のために可動式の壁をあけたため冷気が入ったとのこと。明日以降はこういうことはないとのこと。

通し終了が11時。劇場退出時間なので、ホテルのロビーに移動してダメ出し。日本人は俳優陣もスタッフも疲労の色が濃くなっているようだったが、演出のアルノーは通しの出来に満足しているようで機嫌がよかった。いいとか悪いとかってことじゃなく、考え方とか優先順位の置き方とかがやはりそうとうちがうのかもしれないと思った。通し直前のドアノブの直しのときもちょっとそんなことを思った(これについてはまた今度ちゃんと書きます。これは自分の備忘のためのメモ)。


01/10/2010(日)

8時くらいに朝食に降りる。いつもより1時間ほど遅い。でもほぼいつものメンバーと一緒だった。私はきのうくらいから、もうチーズとデザートにほぼ興味がなくなった。パンでいえば、バゲットとバターがあれば充分です。だってそのバゲットとバターがおいしいんだもん。

このホテルに戻ってきて以来、無線LAN接続がどうもうまくいかない、というか、秒単位で接続がつながったり切れたりつながったり切れたりして安定しない。ただ、近くの部屋で問題なく使えている人も多いので、なにか位置的な問題かもしれないと思い、部屋の中をパソコンを持ってうろうろダウジングしてみる。そうすると、ドアを入ってすぐのところでだったら安定した接続が得られることがわかり、一時はそのあたりの床に座り込んでパソコンに向かってみたけど、姿勢的にそれはきついので、最終的にはドアのすぐ前に机がわりにスーツケースを縦に置いてパソコンを載せ、その前に椅子を持ってきて使うことにした。インターネットの接続的には快適この上ないけれど、けっこう広いこの部屋で何が悲しくてドアに向かって座ってなきゃならないのかという気がしないでもない。それでも、快適なインターネット接続を私はとるけどね。

きょうは、朝食に行く以外部屋から一歩も出ずに過ごした。1月1日〜9日の日記を、やっと書いた。あとは、読書したり、眠ったり、洗濯(手洗い)したり。友だちとSkypeで話せたのもよかったな。落ち着いたよい休日でした。


01/09/2010(土)

あいかわらず早朝にめざめてしまう。7時前には朝食。劇場に行ってしまうとずっと稽古で、こういう時間しかだらだらしゃべれないから、ついつい1時間以上他愛のない話をする。

部屋に戻り、きのうロビーの「図書館」(棚があって本が置いてあるだけだけど)で見つけてきた英語のペーパーバック(「セックス・アンド・ザ・シティー」イギリス版、みたいな本だった)を読みながら、眠ってしまう。そんなこんなで午前中いっぱいだらだらして、昼食の15分前くらいに劇場に到着。2度めの洗濯。昼食は、牛肉と小さいジャガイモを煮たメインの料理がおいしかった。温かいものを温かいうちに食べたくて、サラダや前菜的なものをとばしてまず食べました、肉ジャガ。

音響のデザイナーのバンジャマンが合流し、きょうの午後の稽古は音の具合を見るのを中心に進む。2時から3時は公開稽古ということで、客席に、10人以上はいたと思う。アマチュアで演劇をやっている人たちとのこと。

夕食後、8時から、今回はじめての通し稽古。


01/08/2010(金)
「部屋の暖房が入らない」と朝食のとき一緒になった人たちに言うと、温度調節のスイッチがここにあるあそこにあると口々に教えてくれる。いやそれはわかっているけれど温度を調節するも何も暖房自体が入らないんだよと言っていると、ある人が、器具の右上にオンオフのスイッチがあるよと教えてくれる。それだ! 部屋に戻ってさっそくスイッチを入れると、あっというまに暖かくなった。よかった!

楽屋に荷物を置いてから、近所のショッピングモールを目指す。だいたい見当をつけて歩いていたら、買い物帰りの友に出会い、道を教えてもらう。衣類や靴や化粧品や、いろんな店があるけれど、きょうは時間がないのでスーパーへ。あさってが稽古がお休みなんだけど日曜でお店がやっていないからいまのうちに食料品を確保しておく必要があるので。部屋に冷蔵庫がないこともありいろいろ迷うが結局、10分ボイルしたら食べられる長粒米(1人前ずつ袋に入っている。湯沸しポットで作るつもり)とポテトツナサラダにちがいないものの缶詰を買う。バナナも2本かごに入れてたんだけど、レジに行く前に重さをはからないとダメだったことがレジでわかったので、それは戻してもらった。ビールも買った! 今回のツアー、きょう5日めにして初ビールです。

稽古は、4場の途中から6場の最後まで。これでやっと全部のシーンをやったことになる。きょうまで、自分が次どのシーンに出ているのかということを把握しきれておらず、もちろん直前の台詞を聞けばわかるんだけど、俳優がよく見る「本番の舞台に立っているのに、なんの演目なのか自分だけまったく知らない」という悪夢みたいな状態が続いていたが、これで全体像を(再度)つかめた。そして4〜6場を通す。


01/07/2010(木)

時差ボケできょうも早くに目がさめる。さぁ荷造り、と思うけれど、シャワーをあびたりご飯を食べたりしてからじゃないとつめられないものも多いので、そっちを先にやっつける。荷造りも、さくさくと終わらせる。スーツケースが大きいので、重量制限さえなければ荷造りなんて楽勝さ。

荷物は別途車で運んでくれる(よかった!)とのことで、身軽に劇場入り。雪の写真を撮ったりする。

市街地のホテルはシャワーだけだったけど、きょうからまた泊まるホテルはバスタブ付き。部屋に入るやいなやお湯をためて、ゆっくりつかる。お風呂からあがって荷解きをしている途中で、暖房が入っていないことに気づき、いろんなスイッチをいじってみるがうまくいかず、それでもお風呂に入ってあったまっているのでけっこう平気だった。


01/06/2010(水)

きのう「明日は雪が降るかもしれない」と言われていて、でもまさかそんなこともないだろうと思っていたところ、朝の街には雪が積もっていた!

午前中、友と少し街を歩く。それぞれのお気に入りのブランドの店を見てみたり。最終的にはモノプリ(デパート&スーパー)に行くつもりだったんだけど寄り道をしすぎて方向がわからなくなり、聞いてみることにした。フランス語を習っている友にまかせるつもりだったが、親切そうなおばあさんに近づいて、「エクスキューゼモワ」と言い、「モノプリ」と言って友がだまってしまったので、私が「ウ(どこ)?」と言い、おばあさんはあぁあぁモノプリねと答えてくれたけどそれは言葉というよりも身振りで「あっちよ」ということがわかった感じ。それでも無事に行き着いて、私はマグカップを買った。

途中、「きょうは雪でトラムが時間通り運行していないから、早めに劇場に向かってください」と連絡がまわってきて、買い物を早めに切り上げて劇場に向かう。雪がまた降り始めていて、劇場前の敷石はところどころガラスタイルになっていてそこだけすべるので通行人が何人も転びそうになっていた。

きょうの稽古は4場。4場長いなぁ。やってもやっても終わらない。

カーンはこの週末まで雪の天気予報とのこと。雪が降ってまたトラムやバスが動かなくなると稽古に支障をきたす、そのリスクを避けたいとのことで、明日から、ツアー初日に泊まった郊外のホテル(劇場に徒歩でかよえる)に移ることになった。私は、今のホテルの部屋が、最初に入った日にすごく寒かったのが3日間かかってだんだん暖かくなってきた(クリスマス休暇で冷えちゃってたんだと思う)ところだったので、ちょっと残念な気がしたけれど、しかたがない。

トラムが動いてないので、タクシーに分乗してホテルに帰る。フランス語で領収証ってなんていうんだろう?と友は辞書で調べたりしていたけれど、「レシート、シルヴプレ、パピエ」と言ったら(レシートは英語。通じないと思ったから最後にパピエ=紙って言ってみた。この状況で紙ったら領収証だよねとコンテクストにおもっきり依存してみた次第)、領収証を書いてくれて、「ファクチュールって言うんだよ」って教えてももらっちゃった。運転手さんありがとう。


01/05/2010(火)

めざましは9時にセットしてあったけれど、8時頃目がさめる。朝食を食べに行ったら、チームの人が次々やってきた。部屋が寒いと言ったら、窓にシャッターがついてるのを閉めなかったのではないかと言われる。そんなものがあったのか。

11時入りのスタッフと一緒にトラムで劇場へ。楽屋でアップと発声。きのうガラガラにつぶした声は、もうほとんど回復したようだった。

昼食後、14時稽古開始。きょうは2場から、3場の途中までをやるというスケジュール。稽古が始まってみると、私の声は、まだまだかすれていることがわかった。怒鳴るシーンもあまり大声出さずにやらせてもらう。夕食をはさんで10時過ぎまで稽古。結局3場の最後までやった。


01/04/2010(月)

ホテルから劇場まで、「徒歩10分」とのことで、各自荷物を持って移動。だけど私の場合、車輪で転がせなきゃ運べないのに、歩道の舗装ががたついてたり、一部は砂利道だったり、劇場敷地内に入ったら各所に装飾的なデコボコした石畳があったりして、大変な思いをした。

稽古は、歌とダンスの練習のあと、1場の最初から。私は最初の登場がトップギアでテンションマックスみたいな大声なんだけれど、劇場が広かったり寒かったり私自身がまだ疲れてたりウォームアップが足りてなかったりのせいでしょう、あれよあれよというまに声を枯らしてしまって、最後は高低のまったくない一本調子になってしまった。

きのうとは別のホテルにきょうから泊まるので、荷物を持ってトラム(路面電車)で移動。劇場は郊外にあって、きのうのホテルはその近くで、まわりに何もなかったけれど、きょうからは市街地のにぎやかなあたりのホテルです。しかし、劇場もホテルもうすら寒い。


01/03/2010(日)

4時半起床。5時半にはいえを出るはずが、もたついて5:40に。でもバスには余裕で間に合った。出るときばたばたしたので「無事に間に合った」と知らせようと電話したら、夫は、何か問題があったかと心配そうな声だった。もうしわけない!

早朝の空港バスに乗るたび、あけていく朝の空の美しさに心を奪われる。ずっと見ていたい。

空港で無事に全員集合し、荷物の重量制限もクリアし、一路フランスへ向かう。

機内では、「鳥の飛ぶ高さ」の台本をひたすら確認。それか、眠っていた。とはいえ12時間以上あるので、後半は映画を見たりした。「THIS IS IT」を見始めて、やけに暗転が多いなぁと思っていたら、それは暗転ではなくて私のモニターが勝手にまっくらになってしまうんだと判明(もう1度見てみるとさっきとちがうところで暗転したりするので気づいた)。1時間分見てあきらめる。歌手、ダンサーとしてのマイケルのすごさ、自分を演出しプロデュースする、執念ともいえるような妥協のない姿勢に感服。続いて、音楽寄りではなくストーリー的なものだったらまだ耐えられるかもと思い、早送りとかプレイとか一時停止とかいろんなボタンを駆使して「勝手に暗転」を回避しながら「南極料理人」を見る。たぶんこれがエピローグの始まりだろうなというシーンで時間切れになってしまった。今度またちゃんと見たい。

空港には、フランスチームがすでに着いていて、再会を喜び、最初の公演地カーンにバスで向かう。ホテルに着いて、皆で夕食、となったのは9時くらいだったか。話もはずんだけどさすがに疲労の色濃く、そうそうに部屋に引き上げる。着替えたりなんだりしてはっと見渡すと、30分足らずのあいだに、床にも机にも棚にも、とにかく表面という表面に私の荷物があって、「いったい何人で泊まってるんですか?」みたいな見事な散らかり方に、自分ながらあっけにとられ、笑うしかなかった。


01/02/2010(土)

夫とご飯を食べにいくついでに、駅ビルで靴の修理も頼む。フランスツアーに寒冷地用ショートブーツで行こうと思ったらかかとが磨り減っていたからさ。札幌のデパートで買ったブーツで、あったかいんだけど、皮製なので防水スプレーをしとかないと水がしみてくる恐れがある。
「防水スプレーをシューッとしてくれるサービスとかないですか?」
と聞いてみた。スプレーの販売はしてるけどそういうサービスはないそうだ。1足100円とかでやってくれたらいいのになぁ。でも私にしても「極寒のフランスに行く」ということでもなきゃそんなの必要ないんだから、このあたりじゃそういう需要がないんだろうね。

2、3最後の買い物をして帰り、パッキング。パソコンの準備をしたりなんだりしていたら、起きる時間まで2時間半になってしまった。


01/01/2010(金)

フランス行きの準備はもうほとんどすんでいる、というか要るものを買ったり揃えたりというのはもう済ませたはずなんだけど、余裕があるからかえって落ち着かない、みたいなところがあり、荷造りをしてみた。受託手荷物は何キロ、機内持ち込み手荷物は何キロと制限があり、計っては詰め替え、詰め替えては計りして、なんとか制限重量内におさめる。ほっとするのもつかのま、あまりに全部荷造りしちゃったので、歯をみがくにも顔を洗うにもいちいちスーツケースから必要なものを出さなきゃいけなくなってしまった。めんどくさいけど、1回詰めてみて安心はしたので、まぁよかったと思う。


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